米連邦通信委員会(FCC)は27日、中国の国有通信大手・中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)の米国事業免許を取り消す方針を決定した。中国共産党のスパイ活用に悪用されるなど「国家安全保上の懸念」が理由だとしている。これにより、中国政府が管理する国有通信3大手すべての米国通信サービスを認めない方針を固めた。
FCCは4対0の全会一致で決定した。チャイナユニコムの米子会社に60日以内に米国事業を停止するよう命じる。同社は米国との国際通信事業を手掛けてきたが、中国共産党主導の下、海外旅行中の米国人の携帯電話ネットワークを追跡・監視しているとの疑惑が浮上するなど安全保障上の懸念が取り沙汰されていた。
FCCのローゼンウォーセル委員長は免許取消の理由として、20年前に同社に免許を与えてから中国に関する国家安全保障の状況が変化していることを挙げた。「チャイナユニコムが米国の通信インフラの安全性に対する真の脅威になっているとの証拠が増えている」と指摘した。
FCCはチャイナユニコムに弁明の機会を与えてきたが、同社の回答は一貫して「不正確」だったと主張。「米国市民の通信内容の開示など中国共産党の要求に応じる可能性が高い」と指摘し、米国でサービスを提供する上で「単純に信頼できない」と強調した。
FCCは中国共産党政権の影響下にあるとみられるパシフィック・ネットワークスとその子会社コムネットにも同様の手続きを開始したとしている。
チャイナユニコムの北京事業所は、来週開幕する北京冬季五輪の唯一の公式通信サービスパートナーだ。同社は過去1年間、米国の制裁対象となっている中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と連携し、五輪に向けて第5世代移動通信システム(5G)を構築してきた。
国有通信大手・中国電信(チャイナテレコム)も昨年、FCCから免許停止命令が下った。しかし、同社は米事業を継続する方針を示しており、チャイナユニコムも同様の動きにでる可能性がある。米ワシントンのシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)の技術政策部門トップのジェームズ・ルイス氏は厳しい制裁の発動が可能な国際緊急経済権限法(IEEPA)を行使するよう求めている。
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