「国際社会に顔向けできない」 櫻井よしこ氏、対中人権非難決議の軟化に苦言

2022/01/17
更新: 2022/01/17

評論家の櫻井よしこ氏は15日、都内で講演を行い、中国共産党が行っている人権侵害行為に対して日本の国会は明確な意志を示すべきだと訴えた。非難決議の重要な文言が多数削除され内容が軟化していることについて「情けない限り」であると批判した。中国共産党が国際社会での発言権を強め拡張を目論むなか、「日本が自分の責任と役割を自覚して、その責任を果たすべき」だと主張した。

櫻井氏は「世界はイデオロギーの戦いの真っ只中」にいると述べ、共産主義的イデオロギーの拡散を目論む中国共産党政権と、日米のような普遍的価値観を持つ国々との対立が顕著になっていると警鐘を鳴らした。

中国共産党が2049年までにデジタルデータ管理や軍事拡張および国連における影響力拡大などを通じて、世界の秩序を書き換えようとしていると指摘。中国共産党が鼓吹する「人類運命共同体」では「押し付けられる秩序は中国共産党の考え方に基づくものだ」と一蹴した。

2度に渡り流れた対中人権非難決議について、櫻井氏は17日召集予定の通常国会で決議する可能性があると示唆した。しかし、「中国」の名前を入れない、「人権侵害」というワードを「人権状況」に変更するなど、非難決議の性質を軟化させるような修正が加えらたなれば「決議してほしくない」と訴えた。

「何のための国会なのか。何のための政府なのか。私たちは自分たちの価値観を代表する人々を国会に選んだはずだ」「国際社会にどういう顔向けをするのか。日本人としてあまりにも恥ずかしい」と失望感を口にした。

日本を取り巻く国際情勢についても危機感を示した。米国は今も超大国だが国内問題を抱えており、一国で中国共産党に対峙するのは難しく、同盟国の協力が不可欠となっている。日本は中国に対し軍事威嚇や人権弾圧の停止をはっきりと主張するべきだと力説した。

講演は日本ウイグル協会が主催し、「ウイグルジェノサイドに日本がどう向き合うべきか」をテーマに行われた。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。
日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。