中国新華社が「007」パロディ動画を公開、英MI6長官「無料宣伝ありがとう」と皮肉る

2022/01/07
更新: 2022/01/07

中国国営新華社はこのほど、架空の英国秘密エージェント、ジェームズ・ボンドの活躍を描く映画『007』をパロディ化した短編動画を発表した。動画は、覇権主義的な行動を強める中国当局を非常に懸念する欧米情報当局を風刺した。英秘密情報部(MI6)のムーア長官は動画について、「タダで宣伝してくれたことに感謝」と余裕の切り返しを見せた。

新華社は4日、ツイッターと公式ウェブサイトなどで自作の英語短編動画を公開した。動画は、映画007シリーズ最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ(No Time to Die)』をパロディ化し、『ノー・タイム・トゥ・ダイ・ラフィング(No Time to Die Laughing)』とのタイトルを付けた。

中国人俳優2人がジェームズ・ボンドと、女性エージェント「ブラック・ウィンドウ(Black Window)」に扮した。しかし、ジェームズ・ボンドのコード名は「007」ではなく、「0.07」となった。ボンドの苗字は、ボンド(Bond)から池を意味するポンド(Pond)に変わった。

4分35秒の動画の中で、「エージェント0.07」ことポンドは、「中国の『債務の罠』と『データの罠』をでっち上げることは」、英国情報当局がより多くの予算を得るための「悲しい口実である」と話した。

また、米国情報当局のエージェントはポンドらに対して、ファーウェイの携帯電話に「バックドア」が設置されているため、買わないように助言した。しかし、ポンドらはすぐ、自分らの携帯電話が米情報当局に盗聴されていることに気づき、2013年の米情報当局による欧州諸国首脳らへの盗聴を巡って非難し始めた。

動画は「エージェント0.07、ポンド」を通じて、「米国の敵になるのは危険だが、米国の味方になるのは致命的だ」と中国当局の主張を行った。

新華社はツイッター上で、この動画を投稿し、米国の中央情報局(CIA)と英MI6のムーア長官のツイッターアカウントにメンションした。

ムーア長官は6日、ツイッター上で「思いがけない無料の宣伝に感謝する」とコメントし、中国側の動画を皮肉った。長官は、コメントとともに、約1カ月前に行った演説に関するリンクも付けた。

長官は11月30日、同国のシンクタンクである国際戦略研究所(IISS)で演説を行い、「中国の台頭」に対抗することは「MI6にとって最大の優先事項だ」と述べた。

長官は、中国当局による香港市民や新疆ウイグル人住民への抑圧を非難し、「(中国は)世界中で社会談論と政治的意思決定の過程をゆがめようとしている」と指摘した。巨大経済圏構想「一帯一路」を巡っては、中国が「債務とデータの罠」を通じて他国に浸透しようとしていると批判した。

(翻訳編集・張哲)