米商務省は26日、国家安全保障の懸念があるとして、中国企業など輸出管理対象とする「エンティティーリスト」への追加を公式発表した。これらの企業の中には、中国人民解放軍の量子コンピューター研究に関与している企業も含まれ、うち1社は神奈川県に所在する。
リストには日本や中国、パキスタン、シンガポールの27社が新たに追加された。商務省は中国に拠点を置く8社については、対潜兵器開発や暗号解読などの量子コンピューティング技術が転用されることを防ぐためだと指摘。中国とパキスタンで活動する16社に関しては、パキスタンの核開発や弾道ミサイルプログラムへの関与が指定の理由とした。
2019年にエンティティーリストに追加された中国企業「Corad Technology Limited」の子会社3社も対象となった。うち1社は神奈川県に所在する。3社は、イランの軍事・宇宙計画、北朝鮮のフロント企業、中国の政府・防衛産業の下部組織に米国をはじめとする西側諸国の技術を販売してきたと商務省は指摘した。
エンティティリストに追加された企業に米国の技術を輸出する場合は、米国政府の許可が必要となる。しかし、新たに追加された事業体は中国籍の1社を除き、輸出管理規則の「原則不許可」の扱いとされ、実質的な禁輸措置となっている。
レモンド米商務長官は24日、「グローバルな貿易と商取引が国家安全保障上のリスクとなるべきではない」と声明を発表。今回のエンティティーリスト追加により、米国の技術が中国やロシアの軍事的進歩や、パキスタンの弾道ミサイル計画プログラムに転用されるのを防ぐのに役立つと強調した。
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