ロイター通信18日によると、デンマークの大学の中国系教授は中国軍の研究者と共にサルの脳を研究していた。教授は中国軍との関係を学校側に報告していなかった。
報道によると、コペンハーゲン大学の張国捷教授と学生1人は、中国軍の研究所と協力し、サルを高原に放して、その脳を研究し、高山病による人間の脳の損傷を防ぐ新薬を開発していた。張教授は深センに本社を置く中国遺伝子解析企業、BGIグループ(華大集団)にも雇用されている。
2020年1月、張教授と中国軍の高山病研究責任者である高鈺琪少将は、論文を共同作成し発表した。コペンハーゲン大学の担当者は「論文作成者の中に中国軍の研究者も含まれているという事実についてあまり知らない」とロイター通信の取材に返答した。
張教授は、大学側は論文の共同作成者について報告を義務付けていないとして、中国軍との協力関係を大学に報告しなかったと説明した。コペンハーゲン大学側もこれを認めた。
ロイター通信によれば、張教授と高鈺琪少将が主導したこのサルの脳への研究に、BGI創業者の汪建氏と楊煥明氏も関わっていた。
BGI側は、軍とのこの研究は「軍事目的ではない」と示した。中国当局の科学研究機関は、チベット高原の高山病で軍人が死亡に至るケースもあり、この研究はチベット高原での国防に役立つと主張したという。
中国軍のメディアによると、高鈺琪少将の研究は高原部隊の訓練と戦闘能力を高めることに貢献したという。
いっぽう、コペンハーゲン大学とBGIは深いつながりがあるという。BGI創業者の汪建と楊煥明の両氏、他の上級幹部には、コペンハーゲン大学に留学し研究活動を行った経験がある。コペンハーゲン大学は、欧州で最も歴史の長い遺伝子研究所を持つ。BGIの欧州本部は同大学のキャンパス内にある。同社はコペンハーゲン大学の数十人の研究者に資金を提供している。
張国捷教授と高少将の研究論文は、中国科学院が発行する科学誌「動物学研究」に掲載された。張氏は同雑誌の編集委員会のメンバーを務めている。
米国防総省が今月初めに公表した中国の軍事力に関する報告書は、中国当局が軍の兵士のパフォーマンスを向上させるためにバイオテクノロジーを使用していると指摘し、懸念を示した。
米共和党のトム・コットン上院議員らは9月30日、「中国は軍事目的のためにバイオテクノロジーを利用し、米国の利益を損なっている」として、BGIをブラックリストに載せるようバイデン政権に求めた。
(翻訳編集・張哲)
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