米連邦通信委員会(FCC)は26日、中国の国有通信大手、中国電信(チャイナテレコム)の米国での事業免許を取り消すと発表した。安全保障上の懸念を念頭に、トランプ前政権の対中強硬姿勢を引き継いだ格好だ。
与野党の委員が全会一致で可決した。チャイナテレコムの米国子会社チャイナ・テレコム・アメリカズに、60日以内に米国での通信サービスを停止するよう命じた。同社は、米国で約20年間にわたり電気通信サービスを提供してきた。
FCCは、チャイナテレコムが中国共産党政権の支配下にあると指摘。同政権の命令に従い、米国の通信インフラを通じて抜き取った情報を提供し、スパイ活動や米国に有害な活動に利用される恐れがあると判断した。
トランプ前政権は2020年4月、チャイナテレコムを「安全保障上の脅威」と認定し、事業免許の取り消しを検討すると警告した。司法省は、チャイナテレコムが米国内の記録の保管場所について不正確な記述をするなどしたことから、警戒を強めていた。
FCCは3月、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)や中国政府系の通信会社パシフィック・ネットワークスとその子会社コムネットなどの免許を取り消す手続きも開始した。
FCCのブレンダン・カー委員は、今回の採決は重要な一歩であるとしつつ「中国共産党の脅威に、引き続き警戒する必要がある」と声明を発表した。
超党派で対中強固論が広がる。20日、米下院は国家安全保障上の脅威とみなされる中国の国営通信会社に対して、FCCが免許の審査や提供を行うことを禁止する法案を可決した。法案の可決を受け、カー氏は、FCCが国家安全保障上のリスクとなりうる企業の禁止リストを拡大する必要があると訴えた。
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