岸防衛相、中露艦艇の日本周回は「示威活動を意図」… 米海軍長官も懸念示し、徹底的な抑止を強調

2021/10/27
更新: 2021/10/27

岸信夫防衛相は26日の記者会見で、中露海軍艦艇10隻が軍事演習を行いながら日本を周回したことは、「わが国に対する示威活動を意図したもの」であると述べた。訪日中の米海軍長官は、中露が国際秩序に従わず他国を脅迫する関係になったと分析し、両国が侵略者にならないよう徹底的に抑止していくと強調した。

ミサイル駆逐艦やフリゲート艦などからなる中露海軍の10隻の艦艇は、18日から23日、編隊を組んで津軽海峡大隅海峡を通峡し日本を一周した。大規模で長期にわたる両軍の共同活動は初。伊豆諸島周辺海域と東シナ海では、両国の海軍艦載ヘリが発着艦した。

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「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを如実に示すもの」と岸防衛相は述べ、厳重な警戒監視活動を実施するとともに、国の防衛力を大幅に強化する努力を継続すると強調した。

防衛省は、中露両国が近年、日本海や東シナ海などで、爆撃機による共同飛行など緊密な軍事協力を進めていることを確認している。

いっぽう、中国とロシアの国防省は今月中旬、日本海で軍事演習を行ったのち、「西太平洋で共同パトロールを行なった」と発表した。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は20日、中露艦艇の航行を「中露に対抗する米国と日本に対する警告」と報じた。また、米海軍基地を含む多くの重要な軍事施設が日本の東側にあると前置きした上で、中露艦艇の東側の航行が重要な意味を持つと匿名の軍事専門家の話として伝えた。

同記事はこのほか、中露艦艇が「米国とその同盟国が台湾海峡や南シナ海など挑発行動」に関わる「第7艦隊司令部のある米海軍横須賀基地に到達する」ことに意味があると、匿名の識者の話として報じた。

中国共産党による武力拡張に対し、日米欧州諸国は「自由で開かれたインド太平洋」の構想に基づき、「航行の自由」作戦を行っている。西太平洋とインド洋などを担当する米海軍の第7艦隊は最近、南シナ海で頻繁に演習を行っている。14日から15日にかけて、同艦隊所属のイージス駆逐艦「デューイ」がカナダ海軍フリゲート艦「ウィニペグ」とともに台湾海峡を通過した。通峡は今年9度目。

米海軍長官、中露が「侵略者」になることを徹底的に抑止すると明言

訪日中の米海軍の文民トップであるデル・トロ長官は25日、オンライン記者会見で中露艦隊の動きについて懸念を示した。米軍機関紙・星条旗新聞が報じた。

「おそらく最近の中国とロシアの関係は、ルールに基づく国際秩序に従わない行動で他国を脅迫する形に進化したと私は信じている」とデル・トロ長官は述べた。そして増大する脅威に対抗できるよう、地域における米軍の配備態勢を見直す可能性があるとの考えを示した。

そのうえで、「(中露が)他国をいじめたり、様々な方法で侵略者になったりすることを徹底的に抑止する必要があると思う」と強調した。

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外交的には国際秩序と協力の重要性について両国に働きかけること、また、日本やオーストラリア、ベトナム、フィリピンなどの国々との連携することが鍵になると述べた。

米国務省は現在、地球規模で展開する米軍態勢を見直す「グローバル・ポスチャー・レビュー」(GPR)を行なっている。星条旗新聞によれば、今年の年末か年始に公表される。

このGPRの過程で、デル・トロ長官は7日、ロシアや中国に対する「戦略的競争力」を維持することが、優先事項のひとつであると述べている。特に中国については、米国に匹敵する海軍力を持ち、その力を積極的に利用して米国に挑戦する相手であるとの認識を示した。

バイデン大統領は2月の外交方針演説で、中国とロシアの権威主義の台頭に言及。国防長官の主導で米軍配置態勢の見直しに着手すると表明していた。アジアのミサイル配備やオーストラリアの米軍機配備増加など、インド太平洋における態勢が増強される見通し。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
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