「中共統一戦線に注意」トランプ政権高官ら、米上院で警告発する

2021/08/17
更新: 2021/08/17

4日に行われた米上院情報委員会の公聴会にトランプ政権時代の高官が出席し、米国は中国共産党の政治戦争に対抗しなければならないと主張した。

米国の元大統領副補佐官マシュー・ポッティンジャー氏は、中国共産党は米国に対して政治戦争を仕掛けており、米国の政策立案者は、「北京の野望のために、政治家、ビジネスマン、科学者を含むアメリカ人リーダーに影響を与え、強制しようとする」中国の最も脅威的な戦略の要素を十分に理解していないと述べた。

同氏はさらに、ジョージ・ケナン元米外交官の言葉を引用して、 その戦略を達成するための中国共産党の異なる手法は、「政治戦争の現れ」だと指摘した。

ケナン氏は第二次世界大戦後、ソ連邦の勢力拡大による世界の共産主義化を防止するために、「封じ込め」政策を打ち出したことで知られている。ケナン氏は1948年に発表した覚書の中で「政治戦争」という言葉を使い、「国家の目的を達成するために、戦争をしかけないまでも、国家が指揮できるあらゆる手段を講じること」と提唱した。

「中国がやっているのはこれだ」とポッティンジャー氏は述べ、中国共産党の中央統一戦線工作部が指揮する「統一戦線」に注意を払わなければならないと警告した。

同氏は、統一戦線は、外交を行う代わりに、海外のエリートや彼らが運営する組織に焦点を当て、情報を集め、海外の政府関係者や民間人に対して、中国共産党の意向に叶う行動を取るような影響工作を行なっていると語った。

中国共産党は、米国の市民団体や政治団体に浸透するため、草の根レベルの統一戦線を展開している。

米国務省は2020年10月、米国で中国の悪意ある影響力を広めようとしているとして、ワシントンに拠点を置く、中央統一戦線工作部の直轄組織「中国和平統一促進会」を、「外国政府の宣伝組織」に指定した。

元国家防諜安全保障センター長官のウィリアム・エバニナ氏も同日の聴聞会で、中央統一戦線工作部ついて警告するいっぽう、米国に対する中国の包括的な脅威について言及した。

「中国の指導者である習近平氏には、世界の地政学的、軍事的、経済的リーダーになるという一つの目標がある」「習近平氏は、中国の国家安全部、人民解放軍、中央統一戦線工作部とともに、包括的かつ国全体を対象としたアプローチを推進しており、米国の隅々に投資し、テコ入れし、浸透し、影響を与え、盗むもうとしている」と強調した。

近年、中国の政治戦争は、米国のサイバー空間にも及んでいる。

2017年、中国のハッカーは、米信用情報機関大手Equifaxのオンラインシステムに侵入し、約1億4500万人の米国人の氏名、生年月日、社会保障番号、運転免許証番号を盗んだ。しかし、中国共産党政権は、米国の成人とその子供のデータを収集することを、「北京の政治戦争のルールの下では公正なゲーム」とみなしているとポッティンジャーは指摘する。

参考:米司法省、中国軍ハッカーを起訴 米大手信用企業から1億4000万人分データ盗む

同氏は、中国の政治戦争に対抗するため、投資を禁止している中国の防衛・ハイテク企業の対象範囲を現在の59社から拡大すること、外国代理人登録法を強化すること、米国のソーシャルメディア企業と緊密に連携して中国の工作活動を暴露することなど、米国政府にいくつかの提言を提出した。

マルコ・ルビオ上院議員 (共和党、フロリダ州選出) は公聴会で、中国政権の米国における影響力に適切に対抗しなければ、「近い将来、アメリカ人が中国について聞いたり話したりする内容は、大量殺戮を行う共産主義国家の専制君主的な教えのみになってしまうかもしれない」と米国の将来に強い危機感を示した。

(翻訳編集・蓮夏)