中国の脅威 アフリカ前哨基地より大西洋側に押し寄せる=米司令官

2021/05/29
更新: 2021/05/29

アフリカ軍(AFRICOM)司令官は、中国による脅威は太平洋地域からだけでなく、大西洋側からも押し寄せる可能性があると警告している。

米国陸軍のスティーブン・タウンゼント(Stephen Townsend)大将の発言によると、中国政府はアフリカ西海岸に将来的に潜水艦や空母を停泊させる海軍港の建設を計画しており、中国はアフリカ北西部に位置するモーリタニアから南西部のナミビアにかけての諸国に働きかけている。こうした施設を建設することで、中国共産党(CCP)は拡大を続ける中国人民解放軍海軍(PLAN)の軍艦を大西洋と太平洋の両側に配備することができる。

タウンゼント大将は、「中国は軍艦を再装備して修理できる場所を求めている。これは紛争勃発時に軍事的に有用である」とし、「ジブチでこれを確立するには時間がかかり過ぎるため中国は現在大西洋岸に視線を向け、こうした地域に基地を構築することを狙っている」と説明している。

過去20年の間に米国国防総省はテロ対策戦争からインド太平洋地域へと焦点を移行し、中国やロシアといった敵対国からの脅威に特に取り組むようになっている。こうした現状の中で、タウンゼント大将から上記の警告が発せられたわけである。

ジョー・バイデン(Joe Biden)米政権は、急速に拡大を続ける中国の経済的影響力と軍事力が米国にとって安保上の長期的な主要課題と捉えている。

世界各地に拠点を置く米軍司令官等は、中国の影響力の高まりはインド太平洋地域に限ったことではないと警告を発しており、基地や足場の確保などを求める中国政府は、アフリカ、中東南米の諸国でも積極的に経済的影響力の強化に取り組んでいると説明している。

タウンゼント大将は、「中国の港湾開発・改修計画、経済的な取り組み、インフラ開発、そして中国が諸国と締結する合意や契約により、こうした国々で将来的に中国が利用・管理できる資源が増加する」とし、「中国は大損失を回避するために投資を分散しながらアフリカに大きく賭けたわけである」と説明している。

中国共産党は数年前に「アフリカの角」ジブチに中国人民解放軍初の海外基地「中国人民解放軍駐ジブチ保障基地」を開設し、着々とその能力を増強してきた。同大将によると、2000人に上る中国人兵士が同基地に駐屯している。

同大将は、「同基地には明らかに兵器や弾薬が保管されており、装甲戦闘車両も備えている。中国はまもなく同基地にヘリコプターを配備する予定で、これには攻撃ヘリコプターが含まれる可能性もある」と述べている。

中国の軍事力に関して2020年に米国国防総省が発表した報告によると、中国共産党は中国人民解放軍の海軍、空軍、陸軍を支援するため、アンゴラなどのアフリカ諸国に軍事施設を追加することを検討している可能性が高い。報告書には、中国はアフリカと中東から大量の石油と液化天然ガスを輸入していることから向こう15年間は中国はこうした地域を優先すると記されている。

最近開催された米国議会の公聴会で、タウンゼント大将と他の米軍司令官等は口を揃えて中国に対する懸念を表明している。現在、ロイド・オースティン米国防長官が、世界的な統制を維持するために同地域に米軍を配備する必要性について検討している。評価は2021年半ばに完了する予定である。

(Indo-Pacific Defence Forum)