中国旅客ドローンメーカー、米投資会社が疑惑指摘 株価60%下落

2021/02/20
更新: 2021/02/20

米上場中国ドローンメーカー億航智能(イーハン)が取引先と偽の契約を結び、株価のつり上げ疑惑が浮上した。米投資会社、ウルフパック・リサーチ(Wolfpack Research、以下はウルフパック)は16日、報告書を発表した。一方、イーハンは「根拠のない主張だ」と反論した。

報告書によると、ドローン販売会社、上海鵾翔智能科技集団有限公司(クンシャン)はイーハンの主要取引先である。

ウルフパックは、実地調査で入手したイーハンの施設写真、クンシャンのオフィスの内部映像などを基に「イーハンとクンシャンが偽の契約を結んだ」と主張。クンシャンはイーハンの株主であるため、契約を結ぶことは投資家にとって好材料になり、イーハンの株価が押し上げられ、クンシャンも利益を得られるという。

ウルフパックによると、クンシャンのウェブサイトで公開されている3つの住所のうち、1つは同社と無関係のホテルの住所だった。

ウルフパックの調査員が、クンシャンの財務責任者と接触した際、「この担当者はイーハンの商品を売ろうとしなかった。イーハンの製品について意見を求めた時、責任者はイーハンの製品について否定的な意見を示し、われわれに、クンシャンの品質がより良いと自社製品をすすめた」とした。

報告によると、クンシャンの資本金は、1000万人民元(約1億6286万円)~140万米ドル(約1億4790万円)規模。しかし、クンシャンは、イーハンと4億5000万人民元(約73億円)~6500万米ドル(約68億6696万円)の売買契約を結ぶわずか9日前に設立された。

報告書は「クンシャンの資本金が非常に少ないため、売買契約は履行できない」との見方を示した。しかし、「その4カ月後、クンシャンとイーハンは、新たに3000万人民元(約4億8858万円)~430万米ドル(約4億5428万円)の契約を結んだ」という。

クンシャンは2019年1月21日、設立した。同ウェブサイトでは、「クンシャンはイーハン中国地区の戦略パートナーである」と紹介している。

一方、2014年に設立したイーハンは19年12月、米市場への上場を果たした。

ウルフパックは報告書で、「19年12月のIPO(新規株式公開)以来、イーハンの総収入が、1億2550万人民元(約20億円)~1800万米ドル(約19億162万円)に達したと報告された」とした。しかし同期間、同社の売掛金は、9620万人民元(約15億6671万円)~1380万米ドル(約14億5791万円)増えた。

「イーハンは上場以来、得られた現金は、2520万人民元(約4億1041万円)~360万米ドル(約3億8032万円)しかないことを意味する」

またイーハンは、同社が開発した2人乗り旅客ドローンは、米国やカナダなど各国で「飛行認証」と「長期承認」を取得し、欧米で「乗客用級(passenger-grade)」と認められたと宣伝している。

ウルフパックは米国、カナダなどの航空規制当局に確認したところ、各国の当局はイーハンに対して、指定された高度より下で、指定された時間とエリアでのレクリエーションテスト飛行のみ許可したと明かした。イーハンが主張する「乗客用級」ではない。

同報告書の発表を受けて、16日、米国市場でイーハンの株価は60%以上急落した。

イーハンの創業者で最高経営責任者(CEO)の胡華智氏は18日、クンシャンがイーハンの株主ではないとする声明を発表し、「ウルフパックは、イーハンの技術やビジネスモデルを理解しようとしなかった」と疑惑を否定した。

ウルフパックは昨年8月、米上場の中国動画配信サイト、愛奇芸(iQIYI)の粉飾決算について報告書を公開した。

(翻訳編集・張哲)

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