米議会は、中国共産党政権が仕掛けたサイバー攻撃と情報窃盗に対抗する措置を強化する姿勢を示した。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が8月4日、報じた。
議会のサイバースペース・ソラリウム・コミッション(Cyberspace Solarium Commission)が4日、サイバー抑止力の促進を含むサイバーセキュリティ戦略の実施状況に関して報告書を発表した。委員会の主要責任者であるアンガス・キング上院議員(無所属、メイン州)は同日の議会公聴会で、米国は壊滅的なサイバー攻撃を受けたことはないとしたものの、「知的財産権侵害や、米国民の個人情報の窃盗、選挙への介入など、一定のサイバー攻撃を受け続けてきた」と述べた。
サイバースペース・ソラリウム・コミッションの報告書は、中国による知的財産権侵害で、米企業などは毎年3000億ドル(約31兆6623億円)以上の損失を被っていることを明らかにした。被害企業は、消費者信用情報会社のエキファックス(Equifax)、ホテル大手のマリオット・インターナショナル(Marriott International)などがある。さらに、米連邦政府人事管理局(OPM)もサイバー攻撃を受け、職員などの個人情報が盗まれた。
同報告書は、サイバースペースにおいて、悪意のあるハッカー集団により、米国の国家安全保障、経済、政治体制、公衆衛生などがリスクにさらされていると指摘した。米国の重要なインフラ施設の85%は民間企業が所有・運営している。これらの米民間企業が、中国などのサイバー攻撃の主要対象となっている。また、米国は他国政府だけでなく、国内においても官民一体でサイバー上の国家脅威に対して連携を強化し、サイバー攻撃の対応に一貫性、機敏性、迅速性を確保する必要があると強調した。
キング議員は公聴会で、「情報機関と民間企業が、サイバー攻撃に関する情報を共有することはできる。同時に、威嚇的な対抗体制を整える必要がある。これによって、相手が米国にサイバー攻撃を仕掛ける前に、米国がどう反撃するかと不安になるだろう」と語った。議員は、中国などのサイバー攻撃への対抗措置として、国家レベルの経済制裁にも言及した。
米陸軍元将校はRFAに対して、サイバー的な脅威に対して、米国は「過去の守備体制から、自ら攻撃していくという戦略に転換しようとしている」と話した。元将校は、中国当局は盗んだ米国民の個人情報を、人工知能(AI)技術でその生活パターン、政治的考えなどの分析がますます容易になっていると指摘した。「大統領選挙に向けた候補者らの選挙活動では、中国当局が嘘の情報を広め、効果的に選挙に介入することが可能になっている」
米司法省の7月の発表によれば、中国当局のハッカーが米バイオ医薬大手のモデルナにサイバー攻撃を仕掛け、中共ウイルス(新型コロナウイルス)のワクチンに関するデータを盗もうとした。
サイバースペース・ソラリウム・コミッションはこれまで、大統領執務室のサイバーテロなどに対応する「国家サイバー・ディレクター」を設けることや、国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラストラクチャー・セキュリティ庁(CISA)の強化、2年ごとに行政、議会、州政府、民間企業の上級幹部が参加する国家レベルのサイバー机上演習の実施などを提案した。また、米サイバー軍の戦力体制評価の実施、迅速な意思決定を可能にする国防総省の権限委任の見直し、防衛産業の企業間情報共有プログラムへの参加促進、サイバー予備軍の創設などについても提言した。
(翻訳編集・張哲)
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