中国本土への容疑者引き渡しを可能にする条例改正案に端を発する、香港市民デモは8月18日に11週目を迎え、170万人(主催者発表)が集会に加わった。トランプ大統領は18日、「天安門事件のようなことがまた起これば、(中国との貿易交渉の)取引は非常に難しくなる」と記者団に述べた。
大統領は15日にも、米中貿易戦について、「中国政府は早く米国と取引したいだろうが、先に香港の問題を人道的に解決する必要がある」とツイッターに書いている。
2カ月続いたデモで、警察隊による武力鎮圧は暴力性が際立った。11日、警官らは狭い地下鉄駅構内で催涙弾を放ったり、抗議者たちに至近距離でゴム弾を放つなどの危険な行為を繰り返した。45人の市民が負傷したという。
緊張が高まる香港情勢に各国は相次ぎ、声明を発表した。8月17日、欧州連合のフェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表とカナダのクリスティア・フリーランド外相は共同声明で、香港市民による高度な自治の支持を表明した。
声明は、「過去2カ月間に、多くの香港市民が法に基づく集会権利を行使した。しかし、容認できない暴力事件が増えており、さらなる暴力と不安定のリスクが高まっている」と述べた。また、香港における緊張緩和のため、暴力の否定と、当事者間の対話を促した。
「(香港の人々は)一国二制度の下で、平和的な集会の権利や高度な自治権といった自由の権利は国際協定に含まれており、維持されなければならない」と声明を述べた。
米国務省報道官は14日、中国共産党武装警察隊が、香港に隣接する本土行政地域・深センに集結したことに深い懸念を表明した。「私たちは暴力を非難する。当事者に収束を促すが、香港における言論の自由と平和的に集会が行われることを支持する」と報道官は述べた。
米国議会両院の共和党および民主党代表は、香港市民の自由と自治を支持する声明を発表した。
英国のボリス・ジョンソン首相は13日、香港の事情に懸念を表明し、すべての政党が冷静さを保つことを望んでいると述べた。
英国国会議員で外交委員会委員長のトム・タジェンダット氏は、「中国共産党の脅威から香港市民を守り、香港の抗議運動を支援する英国の姿勢を見せるため」の対策案を掲げた。英国が1997年に香港を撤退した時から棚上げされてきた、香港市民の英国籍付与を提案した。「中国共産党の支配下で、香港市民が他の中国人と異なる待遇を享受できるとは思わない」と述べた。
(編集・佐渡道世)