中国で英語教師として働いていた南アフリカの青年51人は、実はビザ詐欺に遭っていたことがわかった。一団は中国入管法違反で、パスポートを没収され、身動きがとれなくなっていた。南アフリカ外務省が中国当局に対して全員の解放に働きかけた。25日には一部が帰国する予定だという。
南ア政府系メディアによると、20歳~25歳までの青年51人は、人材をアジアに派遣する中国系組織「サンダ青年協会」代表オーウェン・ワン氏を通じて、英語教師として就労するためのビザ取得手続きを行った。入国時期は2017年6月、2018年1月、4月とそれぞれ異なる。
しかし、一団は入国後まもなくして、取得したのは学生ビザで、就労ビザではないと中国当局から通告を受けた。入国管理法に違反したとして、南アフリカの青年たちは中国当局にパスポートを没収され、中国で足止めされていた。
51人を解放するため、南アフリカは外交交渉を行った。リンディ・シスル国際関係協力大臣(外務省に相当)は、ただちに青年たちのパスポートを返却し、帰国できるよう中国当局に求めた。
在中国南アフリカ大使館によると、青年たちはビザ取得の代理人により、学生ビザで入国したのちに就労ビザに切り替えると説明を受けていたが、必要書類はそろっていなかった。
フランス24の取材に答えた「サンダ青年協会」代表オーウェン・ワン氏は、詐欺の疑いを否定している。青年たちには、現地で就労ビザを取得するよう説明済みだったと主張している。
シスル大臣は、すべての南アフリカ人は海外で働く場合、慎重に、関連当局に確認するよう警告している。「こうした問題を、中国政府は中国の法に基づいて対処するということを、われわれはよく知っている」と注意を促した。
一団の広報担当によると、中国入管当局は青年たちのパスポートを返却したので、25日昼(現地時間)には帰国できるという。南アフリカ警察当局は、この一件を詐欺の疑いで捜査している。
(編集・佐渡道世)
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