米電動自動車(EV)メーカー・テスラが昨年6月、上海工場の建設に向けて、中国上海当局と交渉を行っていると発表した。しかし、現在まで大きな進展がみられない。伝えられるところによると、テスラ側と中国当局の間で、現地企業との合弁や技術譲渡をめぐり、溝が埋まらないという。
ブルームバーグによると、中国当局はテスラに対して、中国企業との合弁会社を設立することを前提に、上海での工場建設を進めることを求めた。しかし、テスラ側は100%の自社資本、いわゆる「独資」の形態で中国国内での子会社設立にこだわっている。
中国当局は、独自動車メーカーのフォルクスワーゲンなど、中国に進出する世界有名企業の多くに対して、現地企業との合弁を要求している。米紙・ウォールストリート・ジャーナルが昨年10月に、情報筋の話として、テスラは上海自由貿易区内で、100%自社資本の生産工場を建設すると報道した。
同報道について、テスラ側からコメントは発表されていない。
一般的に、中国に進出する外国企業は、元企業が49%、中国企業が51%の出資率で合弁会社を設立する。董事会(取締役会)会議において、重要事項に関して中国側が否決権を持つ。また、多くの外資メーカーにとって、合弁会社では外資企業にとって財産となる重要技術を、中国側に譲渡するという大きなデメリットを被る。
中国当局は国策として、現在EV産業の発展を目指している。また国内消費者に購入を促し、当局はEV購入者に、EVの種類に応じて補助金を支給している。2017年の補助金最高額は、1台あたり6万6000元(約112万円)だった。
これを背景に、外国勢EVメーカーも巨大な中国市場でシェア拡大を実現しようとしている。テスラ創設者のイーロン・マスク氏は昨年4月訪中の際、汪洋副首相との会談を果たした。
中国でのEV販売にあたり、テスラは現在、米工場で生産したものを100%輸入している。中国人購入者は25%の輸入税を余分に支払う必要がある。このため、テスラは他社との価格競争を勝っていくには、解決策として現地生産しかない。
テスラがこのジレンマをどう解決するかに注目が集まる。
一方、テスラが昨年末から、新型EVセダン「モデル3」の生産台数が量産計画通りに届かず、「生産地獄」に陥っている。同社は、モデル3を週5000台ペース生産する達成目標を、これまでの「18年1~3月期まで」から「同年4~6月まで」に延期した。生産目標達成の修正は2回も行われた。当初は17年末に達成すると掲げた。
同社が今月7日に発表した17年10~12月期決算では、最終損益は6億7535万ドルの赤字で、過去最大となった。前年同期は1億2130万ドルの赤字。
(翻訳編集・張哲)
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