国際ジャーナリスト連盟(IFJ)は2月2日、中国の報道の自由についてまとめた年次レポートを発表した。このなかで、現体制下では「中国、台湾、香港、マカオにおける言論の自由に対する抑圧が強くなり、情報封鎖は厳しくなった」と指摘した。
「衰退の十年」と副題がつけられた今回のレポートによると、中国政府はますますメディアに対する圧力と検閲を強化したという。2017年10月に開催された第19回共産党全国代表大会の会期前あるいは開催中には、一部の関係者が失踪し、「敏感地域」では厳戒態勢が敷かれた。共産党幹部について、「ストーリー(美談)」の報道指示などが下った。ネットではその内容が流出したが、すでに削除されている。
敏感地域とは、共産党が政治・社会的不安定を引き起こしかねないと見なした地域。新疆ウイグル自治区、チベット自治区、インドや北朝鮮などの国境地域、国内で官民対立が起きた地域、犠牲者が多数発生したとみられる事故事件の現場、北京の政治中枢周辺、人権弁護士ら異見者の住む地域など。
IFJによると、この10年のなかで2011年マカオのジャスミン革命、2014年香港の雨傘運動、同年のひまわり学生運動など、民主主義を掲げた市民活動があったが、メディアがこれらを自由に報道できる環境ではなかったと主張している。
「これまで以上に発展を遂げた中国経済だが、メディアの報道環境は悪化している。解雇や報道機関認定の却下、入国ビザ却下など、当局による強迫的な活動規制には際限がないように見える。また、価値ある報道に努めるジャーナリストに対しては『世界最大の刑務所』と悪名が高い」と、2日に香港で開かれたレポート発表会見でIFJは批判している。
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IFJは、2008年から2017年の間に、190以上の逮捕、拘留や投獄を確認した。現在もなお38人の報道関係者が中国国内で拘留されている。また、90件の制限命令、80件の嫌がらせや脅迫があったという。
駐中ジャーナリストや外国報道機関の特派員からなる組織「FCCC(中国外国特派員クラブ)」は1月29日、IFJ同様に、報道環境の悪化について指摘するレポートを発表した。中国外交部(外務省)の華春瑩報道官は1月30日の定例会見でFCCCレポートについての質問に対して「外交部は取材に必要なすべての便宜と援助を提供している」とレポート内容を否定した。
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(翻訳編集・佐渡道世)
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