国際通貨基金(IMF)は29日発表した香港訪問の初期評価の中で、リスクの均衡状態が昨年より改善されたが、不動産価格の下落、金融引き締め圧力の予期せぬ上昇、中国本土の経済調整による不均衡、中国本土・香港経済的一体化の後退という4大リスクへの注意を呼びかけた。
4大リスクのうち、半分は中国本土の要素が絡んでいる。香港は本土市場へのゲートウェイや世界金融センターとしての優位性を発揮し、機会を見出すことを期待できるという。
不動産大暴落に要注意
不動産市場において、香港政府が一連の政策措置を打ち出したが、需給不均衡が続くなか、住宅価格が依然として15%上昇し、過大評価スパイラルは続く。
いったん不動産価格が下落に転じると、地価下落や資産デフレ、不良債権、需要不足など負の連鎖を招いてしまい、経済成長に悪影響を与える可能性もある。
IMFは香港政府に対し、不動産破綻のリスクを回避するため、香港永住権を持たない不動産取得者が対象となる「購入者印紙税(BSD)」と2戸目以降の住宅購入にかかる「印紙税増税(DSD)」を次第に撤廃すべきだという意見を述べた。
カレンシーボード制が香港に最適
IMFはまた、「カレンシーボード制」という香港の米ドルペッグ制が相変わらず香港に最も適切な通貨制度であると示し、香港が安定な財政運営を続け、健全な金融規制及び監督制度を備えていると評価した。
香港金融管理局(HKMA)の陳徳霖(ノーマン・チャン)総裁はIMFの支持に感謝の意を表し、「カレンシーボード制」が香港経済安定の礎石であり、香港銀行が資産の質を向上させるため、国際基準を上回る資本保全バッファーと流動性を確立したと述べた。
香港は今年のGDPが3.5%の見通し
IMFは今年の香港の経済成長率(GDP)は3.5%で、政府予想の3.7%を若干下回り、来年は2.5%の成長が見込まれると予測。
さらに、IMFは香港の金融技術の発展への支持を称賛したが、科学技術の発達が市場構造に影響を与えるため、金融システムの安定性を維持するには適切な規制体制が必要であると指摘した。
(翻訳編集・王君宜)
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