「学問の自由が根幹」ケンブリッジ大学、取り下げ論文を復活

2017/08/23
更新: 2017/08/23

ケンブリッジ大学出版局が中国当局の検閲を受け入れ、中国研究の論文315点を中国側から見られないようになっていた問題で、学内外から批判が相次ぎ、転じて、すべての論文を閲覧できるように復活させた。21日、公式声明で明らかにした。

声明によると、ケンブリッジ大学出版局は、中国側の検閲を受け入れたことは、他の文献もすべてシャットアウトするとの圧力を受けて「一時的な措置だった」と釈明。予定していた北京での会議に先立ち、「学問の自由は、大学の根幹をなすもの」とし、論文をただちに復活させた。 

中国側から見られなくなっていた論文をキーワード別に検索すると、中国共産党が社会へ与える影響を恐れ、厳しく統制する「敏感な用語」が入っていることが分かる。内訳は、文化大革命115、チベット45、台湾32、天安門25、毛沢東24本、ほか15本以下では新疆、紅衛兵、ウイグル、1989(注:天安門事件が起きた年)、法輪功、民主主義、香港など。

検閲対象となっていた同出版局の現代中国研究サイト「チャイナ・クオータリー」編集長ティム・プリングル氏は、方針転換を称えた。検閲の受け入れは「世界から尊敬される出版社の行うべきことではない」と述べた。

アクセス遮断中止の決定が、歓迎ムードにある。しかし、海外機関にも中国共産党政府が言論統制するとの問題が露呈した。プリングル氏は、一時的な閲覧不可の決定は「中国共産党のシステム外にある声を排除するという、対外検閲機関による強い力が働いたのでは」と懸念を示した。

ノッティンガム大学の中国研究者ジョナサン・サリバン(Jonathan Sullivan)は、「中国国内では報道機関、インターネット、NGO、弁護士、企業、共産党自身を含め『(党の)規律』の中にあることを強制する。海外の機関も例外ではない」と指摘した。

今後も、中国当局は海外機関への介入をエスカレートさせると見られている。今回ケンブリッジ大学出版局は、中国ミニブログ「微博」公式アカウントでも、論文の復活を発表。しかし数時間後、コメントは削除された。

(翻訳編集・佐渡道世)