中国専門家、「中パ経済回廊」の収益性を疑問視

2017/08/17
更新: 2017/08/17

中国国内経済学者はこのほど、当局が主導する巨大経済構想「一帯一路」の一環として、パキスタンで建設を進めている中パ経済回廊の収益性に疑問を呈した。

中国人民銀行(中央銀行)元金融政策委員の余永定氏が、8月12日黒竜江省伊春市で開催された「中国金融40人フォーラム」に出席した。同フォーラムのテーマは「開発性金融および『一帯一路」建設」だ。

中国メディア「財新網」によると、余永定氏は同フォーラムで、「パキスタンへの投資で収益を得られるのか、または元本を回収できるかについて、われわれは慎重に考えなければならない」と発言した。

余氏は、中国当局が中パ経済回廊に「すでに200億ドル(約2兆2000億円)規模の資金を投入し」、今後パキスタンへの総投資規模が460億ドル(約5兆600億円)に達すると述べた。

同氏によると、パキスタン経済は近年好調をみられているが、過去30年間で一人当たりの平均年収は2%しか増加しておらず、増長ペースが非常に緩やかだ。また、1人当たりの平均年収増長率は2005年以降、毎年縮小傾向にあり、09年にはマイナス成長となった。

また、余氏は同国の経常収支赤字の対GDP(国内総生産)比が、16年の1.7%から17年の4%に急上昇したことに懸念し、「パキスタン経済成長が長期的に持続不可能だ」とした。

同時に、「パキスタン国内各階層間の対立、民族対立、宗教間の対立、テロ攻撃事件の多発」なども経済成長の妨げになっていると余氏が指摘した。

パキスタンは「一帯一路」構想で最も恩恵を受ける国の一つだ。しかし、中国当局が主導する中パ経済回廊の建設で、パキスタン経済の中国依存度が高まり、パキスタン自国製造業の発展力や国家主権が弱まる可能性があるとみられる。

(翻訳編集・張哲)