子孫が絶える「偉業」=環境汚染を憂う中国人ブログ

2013/03/01
更新: 2013/03/01

【大紀元日本3月1日】ベールが一重、また一重と剥がされていく中国の環境問題。空気、地表水、地下水、土壌、すべてが毒に侵され、毒はまたこれらを介して食糧にひそみ、人々の体を蝕む。世界2位のGDPを築き上げた「偉業」は子孫を絶えさせる所業だーー華中師範大学(武漢市)の戴建業教授がこのほど、自らのブログでこう断じた。以下は同ブログ記事の抄訳である。

   

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先日、環境保護活動家の董良傑氏と_deng_飛氏のミニブログ(微博)から、山東省、河南省、華北、華東、華南、華中、東北、西北各地で、悪徳業者が10~20年にわたって地下に汚水を排出しつづけていることが判った。地上の水の汚染は目と鼻で分かるが、地下では分かりにくい。特に長江より北部は地表水が枯渇しているため、人々はこの地下水を当てにしている。董氏と_deng_氏の手元に、山東省や河南省、江蘇省のネットユーザーらから多くの生情報が寄せられた。住民十数戸の村では、十数人、いや、数十人ががんにかかり、奇形児が生まれてくる。その人々の声をいくつか拾った。

   汚水を流していると思われる井戸(ネット写真)

@何兵:こんな手紙をもらった。「荷澤(山東省)に来てください。ここのGDPは林立する化学工場で作り上げているが、汚水処理工場は一つもない。汚水を地下に排出することはもう10数年も続いている。私の実家周辺では水道がなく、みな、地下水を飲んでいる。ここ数年、水が苦い。助けてください」

#我的父親死于血癌#:僕の実家は山東省新泰市。周りの化学工場の汚水が直接川に垂れ流されている。排気ガスも出し放題。周辺の村ではがんが最多の死因である。100メートル歩けば、必ずがんで家族をなくした家庭に出会える。僕の父も白血病で死んだ。

   魚も住めない川(ネット写真)

#一名網友来信#:今日、地下水の調査を読んで涙が溢れた。私は上海にいるが、実家は潍坊市(山東省)にある。そこはほとんどすべての家庭にがんにまつわる悲話がある。妹の義理の親は去年そろってがんと診断され、お父さんはすでに亡くなり、お母さんは闘病中である。

@執着上路的文芸青年:河北誠信化学工場ではシアン化物を生産している。周辺数十の村が汚染されている。実地調査に来てください。これは命の危険を承知での投稿だ。

中国では、政府と企業は同じ利益を享受している。古今東西、どの国のどの時代でも、今の中国ほど官商関係が近いものはない。地下に汚水を流すことで刑罰を受けた経営者は1人もいないし、罰金さえも徴収されない。わが国では、国民に毒を注ぎ込むのは「エリート」なのだ。政府は彼らの納税に頼り、腐敗幹部は彼らの賄賂を待つ。愛人も彼らなしでは豪奢の生活が手に入らない。

地方幹部はGDPが高ければ高い位置に就ける。環境や庶民の命、子孫の未来は出世街道では色褪せする。汚染企業が多ければ多いほど、GDPが高くなり、幹部の業績も評価され、昇進も速い。また、企業の汚染がひどければひどいほど、企業からもらう賄賂額も高くなり、ポケットが膨らみ、海外にいる子供の生活も潤う。さらに、出世が速ければ速いほど、地元から早く脱出でき、汚染地帯にいる期間も短くて済む。これが仕組みなのだ。

我々の外交部は米大使館のPM2.5数値を「内政干渉」と反発していた。だが今、中国人はこれまでどんな空気を吸っていたかがようやく分かり驚愕している。このPM2.5は我々の満足感と幸福感を奪った。夜の散歩は楽しみから苦しみに。朝、窓を開ける時もワクワクからヒヤヒヤと気持ちが変わった。ここでは、幸福感は無知の上に成り立ち、満足感はウソに基づくものだ。

6年前に始まった土地の重金属汚染調査は、2年前にすでに終わったにもかかわらず、そのデータは「国家機密」であり、調査に参加した人は秘密厳守の書類への署名を要求されたという。「中国証券網」1月30日付の記事では、「中国の1.5億ムー(約1000万ヘクタール)の耕地は重金属に汚染されている」とし、長江デルタ、珠江デルタ、渤海沿岸などの地域がもっとも深刻だという。「華南地区の一部の都市では50%の耕地がカドミウムやヒ素、水銀などの有毒重金属に汚染されている。長江デルタ地域では都市によっては広い面積の農地が重金属に汚染され、10%の土壌がほとんど生産力を失っている」。この記事はこんなことも明かした。重金属で汚染された土地で毎年、1200万トン以上の食糧を生産しており、さらに数え切れないほどの野菜も育っている。これらの毒食糧、毒野菜はどこへ、だれの食卓に流れたのか、背筋が寒くなる話だ。

我々の国はここで踏み止まらないと、近いうちに、我々には吸える空気がなくなり、飲める水もなくなる。食べられるものも消えていく。中国は今、西側への第3次移民ブームを迎えているが、移民できるのはわずかな人で、世界もこれほどの難民を受け入れることができない。

都市が汚染されたら田舎に行く。今度は、田舎は都市以上に汚染されている。もう身を隠す場所がない。

我々の子孫はどうすればいいのか?我々にまだ子孫がいるのか?我々の国にまだ未来があるのか?

嗚呼、悲しい限りだ。

(翻訳編集・張凛音)