中国浙江省長興県で病死したブタが大量不法投棄されていたとの報道を受けて、大紀元の記者が関係者などを取材し、現地の深刻な環境被害が次々と明らかになった。
中国メディアはこのほど、住民の実名告発により、大量の病死したブタが焼却されずに同県内の一箇所の山に埋蔵されたことが判明したと報じた。
報道後、現地政府が公式コメントを発表。工業・医療廃棄物処理会社が2013年ごろ、市から補助金を受けて病死したブタの焼却処分を請け負ったが、焼却せずに域内の大銀山に埋めた。その量は約300トンに及ぶと説明した。
県内の汚染はこれだけではない。環境保護活動家は「氷山の一角に過ぎず、地元政府は対策を講じようとしない」と話した。
同県夾浦鎮 (町)の住民、生活用水源の汚染問題を長年訴えてきた72歳の郭さんは大紀元の取材で「このままでは、町の住民がみな死んでしまう」と嘆き、詳しい事情を語った。
町の総人口2万8500人の生活用水源である町内の河が三、四十年前では澄み切って魚がたくさん生息していた。近年では、河が濁りだし、時には豆乳のようになる。河川沿いの繊維工場が発ガン性化学物質ベンゼンを含む工業廃水を垂れ流しているからだという。
いっぽう、生活用水はこの河に頼るしかない。村民は2005年から廃水の排出禁止を求め続けてきたが取り合ってもらえない。後に河の水を浄化する水処理施設がつくられたが、河の汚染が深刻になる一方である。
郭さんの妻は2012年にガンで死去し、長男の嫁も現在、ガンを発症した。ガン被害の実態を地元当局に問い合わせしたが、相手にされることはなかった。郭さん自身が各村を訪問して調査を行った。
「ここ3年、町の人口の約1割、2430人がガンを患い、そのうち1417人が死亡したことがわかった」と郭さんは言う。
郭さんの調査では、毎日約30万トンの工業廃水がこの河や周辺の農地などに流れている。夏の間、河ぞいでは猛烈な異臭が漂う。その水を飲んだアヒルの大群が数時間後ほぼ全部死んだ。
なぜ現地政府が規制しないのか。郭さんは経済利益が絡んでおり、官民の癒着が深いと指摘する。彼を含む告発者たちは頻繁に断水、電力供給停止などの嫌がらせ、時には交通事故に見せかけた脅迫を受けているという。
町長を含む一部の村民は山奥で湧き水を採ってくるなど、水道水を飲用しないという。
「自分はもう失うものは何もない。河の水を飲む以外選択肢のない村人のためには、どんなに脅かされても中央当局に問題を告発し続けていく」と郭さんは語った。
同じ時期に江西省でも河川の重度汚染が話題になった。同省九江市内をながれる濂渓河が真っ赤に変色したのだ。川沿いの家畜屠殺場から排出された家畜の血液や、ゴミ収集所の汚水が原因と見られる。
「中国各地でこのような環境被害が日常的に多発している」と環境問題専門家は漏らした。
(記者・蕭律生、翻訳編集・叶清)
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