家屋強制取壊反対の男性、ガソリンで焼身自殺=中国江蘇省

2010/01/31
更新: 2010/01/31

【大紀元日本1月31日】中国江蘇省の塩城市で26日、家屋の強制取り壊しに抗議する60歳代の男性がガソリンをかぶって焼身自殺する事件が発生した。男性は全身に重度のやけどを負い、上海市の病院に搬送されたという。

焼身自殺したのは、塩城市の男性・曾煥家さん(68歳)。一家13人が住む3階建ての建物が、市の道路建設プロジェクトにより取り壊されることになった。現時点までに、曾家以外の世帯は皆、補償条件の同意書に署名したという。

曾家の関係者によると、一家はこれまで20年間で、3回の家屋取り壊しを経験してきた。「母はそれにより過度のストレスで亡くなった。一方、私たちは巨額の住宅ローンを背負うことになった。家族13人のうち、3人しか仕事がない。私たちが政府に求めているのは、代わりの住宅を用意してくれることだけ。それなのに、政府は、無理な要求だとして対応してくれない」

補償条件の同意書に署名しなかった曾家に対して、今月7日、当局は強制的に家屋を取り壊そうとした。長男が体にガソリンをかぶり、抗議に出たため、工事は取り止めとなった。

26日午後3時ころ、現地公安局の警官3人が曾家の自宅に訪れ、その件で長男を連行しようとした。それに抗議する曾煥家さんは自宅付近の道路に出て体にガソリンをかぶって引火した。

現場の目撃者によると、引火した当初、3人の警官はそばで傍観し救助を行わなかった。父親を助けようとした娘もやけどを負った。火はその後消し止められたが、曾煥家さんは上海市内の病院に運ばれ、全身75%の重度のやけどを負い重体だという。

一方、補償条件の同意書に署名した住民によると、補償金は非常に少なく、代わりの住宅を購入できる額ではない。現地当局は当初から、住民に対し度重なる嫌がらせを繰り返していたため、住民はそれに負けてしまい同意書に署名したという。

中国は近年、都市や不動産開発の加速につれ、土地の強制退去や家屋強制取り壊しなどの事件が頻発している。個人財産が法律に守られない中、当事者が焼身自殺などの手段に出る抗議事件が各地でしばしば起きている。

(記者・古清児、翻訳編集・叶子)