【大紀元日本8月25日】8月21日、米海軍事務最高指揮官マイク・ムルン将校は、中国の海軍訓練基地を見学し、中国国防部および外交部幹部と会談が行われ後、記者に対して、米中関係が改善されつつあるとの認識を示した一方、米国は北京側の長期的軍事意図の不透明さを懸念することを示した。米国がアジア・太平洋地域の軍事優勢を保つために、ペンタゴンは同地域各国との連携を強化し、インド洋にて合同軍事演習を行う予定だと明らかにした。
*中国に求められる軍事透明化
米VOAによると、ムルン将校は、北京は米中関係の改善に尽力する姿勢を評価した一方、中国側の軍事発展の透明化を求めた。ムルン将校は、北京側の長期軍事的意図について、理解する必要があるとの見解を示した。
これに対して、北京側は中国の軍事発展は他の国に対するものではなく、平和を保つ目的であるとした。しかし、外界では北京の軍事計画が台湾に対するものだとみている。北京はかつて、台湾が独立を宣言した場合、中国側は武力行使をすると表明した。
中国側は今年の3月に軍事費を18%に増加させ、計450億米ドル(約5兆1750億円)になることを明らかにした。これに対して、米ペンタゴンの今年5月の報告では、中国の総軍事費は発表された数字の倍である可能性が高いと指摘した。
*軍事力拡充の中国、不安を示す米国
一方、ジティン米太平洋司令官は8月21日に初めてカンボジアを訪問した際、記者に対して、中国の軍事力の急速な拡大に対して懸念を示した。ジティン司令官は、中国が開発してきた一部の軍事システムおよび能力からみて、中国の軍事拡大目的は、アジア・太平洋地域の平和維持が目的ではない可能性があるとの意見を示した。
ここ数年以来、カンボジアは米・中が同時に注目する焦点になっている。中国はかつてカンボジア共産党政権の支持者だった。今でもカンボジアにとって最大の支援国であり、プノンペンに大量の無償援助を行っている。
ジティン司令官は今回の訪問について、中国の軍事力と競争するためではないとした。1997年、カンボジアのフン・セン首相が政敵を倒した後、米国との軍事協力関係が中断した。しかし、2年前、米側がプノンペンに対して、軍事援助を提供したことで、両国間の軍事関係が回復した。今年2月、米軍戦艦が30年来初めてカンボジアを訪問した。プノンペンはワシントンが反テロ闘争の中で、アジア・太平洋地域における重要なパートナーとなった。
アジア・太平洋地域の軍事力を強化するために、9月4日、米・日・豪・印・シンガポールとインド東海岸にて、海軍合同軍事演習を行う予定。これに対して、専門家は米国がアジア・太平洋地域における一連の軍事活動について、同地域で衝突発生する可能性が潜在的に存在していることから、米国が関心を寄せた主な理由だと分析している。そのために、同盟国でない米国の戦略パートナーのインドに対して、同盟国になるよう試みているとみられる。
米モントレー国際研究所東アジア不拡散センター研究員の袁勁東氏は「アジア・太平洋地域において、確かに潜在的な衝突可能性はある。例えば、朝鮮半島の安定や、台湾海峡の状況がある。特に台湾は総統選挙が控えており、陳水扁・台湾総統が独立した公民投票を提案したことから、台湾海峡両側の関係に緊張をもたらした。米国の軍事演習は、突発事件のための準備をしているかも知れない」との見解を示した。
米国防省は8月8日、アラスカへ8機の最新型F-22戦闘機を派遣し、朝鮮半島で突発事件のための軍事行動を用意した。報道によると、来年早々、ペンタゴンが朝鮮半島へ最終的に40機のF-22戦闘機を設置するという。
米太平洋空軍指令官ハスト将校は、米紙「エアフォース・タイムズ」に、アラスカからアジアと欧州へ出入りし易いことから、F-22戦闘機を設置する理想な場所だと明らかにした。また、40機のうち、20機はグアム島に、一部は朝鮮半島へ派遣できるとした。F-22は相手に発見されないような機能を持っており、敵のレーダーを避けることができるという。
前出の袁氏は、米国がアジア・太平洋地域の安定に関心を寄せていることは否認できない。一方、中国近年の迅速な発展も米国にとって脅威であるとの見解を示した。袁氏は、「米国は懸念している。何故なら、中国はここ数年間、各方面の発展および経済発展が早く、軍事方面における国防投入も2桁の速度で増加している。故に、米国がアジア地域の地位を維持する上では、これらの要素を考えなければならない」と分析した。
袁氏は、米中両国の互いの探り合いは長い道のりであるとの意見を示した。
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