袁紅氷:中共のファシズム化は世界の災難

2005/07/13
更新: 2005/07/13

【大紀元日本7月13日】著名な自由主義法学者である袁紅氷はこのほど、メディアに対して次のことを明らかにした。中国共産党の外交戦略の重点の一つは、東南アジア各国及びオーストラリアを中国共産党の政治的植民地にすること、すなわち、中国共産党のイデオロギーを伝播し、オーストラリアの教育、伝統、文化、芸術、ビジネス、コミュニティーなどの社会領域、ひいては政府部門へと浸透させ、オーストラリア建国の基礎である自由・民主・人権の理念を段階的に改変し、オーストラリアを中共の政治的パートナーとすることである。

この問題につき、記者は袁紅氷教授を取材し、西側諸国が中共の浸透にいかに対処していくべきかについて、より深い分析を行った。

記者:袁教授、あなたはメディアに対し、中共の外交戦略の重点の一つが東南アジア諸国及びオーストラリアを中国の政治的植民地に変えることであると明らかにしました。最近、陳用林氏もまた、中共がオーストラリアを中国の大周辺の範疇に組み入れ、オーストラリアが米国に「ノー」と言う国家になることを期待していることを明らかにしました。では、オーストラリア建国の基礎である自由・民主・人権の理念について、現状下でこれを維持し続けることができるのか否かについて、貴方はどのようにお考えでしょうか?

袁紅氷:中国共産党は東南アジア各国及びオーストラリアを彼らの政治的植民地に変えようとしていますが、これは彼らの全体的な外交戦略の重点の一つです。そして、現在、彼らは東南アジアの一部の国家についてこの戦略目的を実現することに比較的成功しています。しかし、私は信じています。オーストラリアは、国際自由・民主社会の重要な構成メンバーとして、建国の基礎である自由・民主・人権の原則を絶対に放棄せず、必ずや、有効な措置を取り中共のこうした目的を挫折させるでしょう。

記者:中共とのこうした複雑な関係を処理していくことについて、研究者の見解では、米国はバランスを取る経験が豊富であると考えています。つまり、双方の貿易関係を維持する一方で、こうした人権の原則を基礎とする関係を堅持しています。では、オーストラリアが中共のニーズのいくつかを徐々に受け入れ、ひいては迎合するに到っている原因は何でしょうか?

袁紅氷:全体的に、オーストラリア国民が自由・民主・人権の原則を堅持できるものと見るべきです。オーストラリアが中共と交流する過程において、一定の分野では経験に乏しい可能性もあります。しかし、私は、経験はおおよそ蓄積されていくものであると考えています。経済・貿易における広範な交流は、現代社会の一つの潮流であり、グローバル化の一つの趨勢であると見るべきです。

しかし、経済貿易面での交流を行う際の基本的な原則はwin-winであり、一方だけがメリットを享受するというわけにはいきませんし、一方に全くメリットが無いような経済貿易関係が出現することはありえません。また、国家間の経済貿易関係については、現在、成熟した国際経済法や国際貿易法によって保護されます。したがって、オーストラリアが中国と経済貿易面で交流を行うに際しては、自国の政治的利益を売り渡す必要は全くありません。

記者:陳用林氏が明らかにしたところによると、オーストラリア外交部のダウナー外相が中共の「法輪功」弾圧に協力していました。2002年の3月、中国の外交部長、唐家セン氏がオーストラリアを訪問した際、彼が到着する前日に証書にサインし、キャンベラにある中国大使館の前で「法輪功」が旗、横断幕、スピーカーを使用することを禁じました。そして、この時から、ダウナーはこうした証書に毎月一通ずつサインするようになりました。もう一つの事例として、法輪功愛好者である章翠英がシドニー最高裁判所に中国国家主席江沢民と610オフィスを起訴しました。その時、オーストラリア外交部は中国政府のために策を講じるといった行為にまで及びました。こうした実例から見るに、中共の「海外戦略」は、オーストラリアにおいて、既に段階的に実施されていると考えられるのではないでしょうか?

袁紅氷:中共の海外戦略はずっと実施されてきています。しかし、ダウナーがこうした法令にサインし、法輪功の横断幕掲示の禁止は、完全な誤りであると思います。私の知るところでは、法輪功愛好者が中国大使館の前で抗議を行うことは、平和的・理性的であり、法治の原則に適っています。

彼らの打ち出した横断幕の内容は、単に迫害を停止すること、世界に真、善、忍の原則を説明することでしたが、これらは現代の人類の良知・理性が認めるべき原則です。したがって、ダウナー外相がこうした法令にサインしたことは、オーストラリア国民が自らの意思を自由に表現する権利を不法に制限したものと考えます。したがって、彼の判断は誤りだと考えます。

また、私にはっきり分かることは、中共が海外の一部の華人メディアや華人コミュニティに浸透しており、その浸透度合いは極めて深刻です。多くの華人は、自由・民主・人権の保障されているオーストラリアで暮らしていますが、それでも、基本的な事実に極度に反しているにもかかわらず、中共の暴政、つまり有史以来最も凶悪かつ虚偽に満ちた専制・統制について、相変わらず賞賛しているのです。

多くの華人メディアもまた、中共の暴政による専制政治を、節操もなくいろいろと持て囃しています。この現象について、一部の華人に到っては、オーストラリアにこれだけ長く住みながらも公開で中共を批判することができませんし、ある者に到っては、私的な立場においてさえ、中共の暴政に対し批判的な言葉を述べることもできません。こうした事実は、中共がオーストラリアの華人コミュニティーや華人メディアに対し、極めて深刻なまでに浸透していることを説明しています。

記者:では、陳用林氏は以前、あなたのビザの問題に触れました。中国領事館の副領事と領事館の官員が、オースラリア政府に対し、あなたにいかなる居留ビザも出さないことを求め、オーストラリアに圧力をかけました。あなたのビザの問題については既に一年近く経過していますが、まだ解決には至っていません。この件について、中共領事館のオーストラリア政府に対する圧力と関係があるとお考えですか?

袁紅氷:この事実について、私はよく分かりません。したがってコメントすることはできませんが、オーストラリア政府が、オーストラリア国民にとって恥辱となるような決定をしないと私は信じています。彼らは、自由・民主・人権の原則に照らして私の問題を処理するでしょう。

記者:現在、中共は経済的利益を用いてオーストラリアに圧力をかけ、中共の人権問題に関して妥協することを迫っていますが、あなたはこの中共による経済的圧力をどのように見ていますか?

袁紅氷:現在、中共は経済活動を政治化しています。正常な経済交流を利用して、オーストラリアを中国共産党の政治的植民地とするための手段としているのです。今後、人々はこのことを明確に認識していくでしょう。さらに、国家間の経済交流において、どちらか一方が自国の政治利益を損なう必要は全くないということを、私は信じています!

記者:現在、中国国内では危機が遍在しています。こうした中で、中共に海外戦略を実現する能力があるのでしょうか?

袁紅氷:この海外戦略は2000年頃から既に制定されてきたもので、これまでの長きに渡り、この戦略は実施されてきました。しかし、中国内部で矛盾・衝突が発生し、内部の危機が随時勃発する可能性があります。中共の全面的な政治危機、経済危機が大爆発する時、中共のあらゆる戦略も併せて崩壊すると私は信じています。

中共官員の亡命は、実際のところ中国に大きな政治・経済危機が出現し、全面的に爆発する一つの前兆なのです。したがって、こうした状況において、中共内部の官員で、死期に近づいている専制政権に対して誠心誠意で命を捧げる者は非常に少ないというべきです。

したがって、こうした中で、中共の海外戦略は有効に実施できないケースが生じてくるでしょう。陳用林氏のような人は、領事を勤めていた時でさえ、内心では中共のこうした戦略に対して既に強い反感を抱いており、誠心誠意こうした業務を遂行する気にはなれなくなっていたのです。こうした点から考えると、中共は今や人心を喪失しています。中共に従い、これを政治的な拠り所としてきた一部の官員もまた精神面で既に瓦解しています。

記者:中共のこうした浸透策に対し、西側諸国は如何に対処していけばよいのでしょうか?

袁紅氷:現在のところ、中共の海外における全体的な戦略は、経済、文化、教育、メディア、ひいては政治などのあらゆる手法を用い、様々な交流を通じて彼らの外交戦略を実現します。彼らの外交戦略とは、総体的にいえば、台湾に対して戦争を発動した場合に西側諸国が彼らに対していわゆる「中立」の立場を取るようにすることです。西側諸国がはっきりと認識すべきことは、中国は経済を発展させる一方で、ファシズム化の歩みを加速的に進めているということです。

中共が台湾に戦争を仕掛けるのは、表面上言われているように、国家領土を保全することでは決してありません。彼らは中国北部の土地150万平方キロメートルを旧ソ連に割譲した時、何の痛みも感じませんでした。したがって、彼らが台湾と戦争をする理由は、国家主権と領土を保全することではなく、台湾に戦争を仕掛けることで、大陸において緊急事態を実現する理由を見つけ、大陸において今や通常の方法では解決できなくなっている経済・政治・社会危機を回避することなのです。

これこそが中共の全体的な戦略の中心です。その目的は、中国共産党が国家権力を一党独裁し、中国共産党が権力を失った後、彼らが56年間犯してきた「反人類的」行為に対する罪刑、中国国民による正義の審判を受けることを避けることなのです。

現在のこうした状況を鑑みると、中共のファシズム化が中国の災難であるのみならず、世界の災難であることを世界全体がはっきりと認識すべきです。こうした中共の海外戦略に対して宥和主義を採るならば、第二次世界大戦前の英国のチェンバレン外相と同様のことになるでしょう。当時、チェンバレン外相はドイツのファシズムに対して宥和政策を採りましたが、その結果、世界全体が第二次世界大戦の勃発を阻止することができなくなったのです。

(希望の声国際ラジオ放送番組「人物専訪」の内容を、看中国がまとめた)