19日、中国のメモリー大手、長鑫科技の株価が急落し、時価総額は2千億元超減少した。相次ぐ好材料にもかかわらず、株価は下落した。長鑫科技は最近、1~9月期の黒字転換見通しや自社株買い計画、次世代メモリー技術での重要な進展を発表したが、3つの好材料にはそれぞれ懸念材料もある。
長鑫科技株が急落 時価総額2千億元超減少
長鑫科技の10月19日の終値は41.52元で、前営業日比7.77%安となった。時価総額は2千億元超減少し、ピーク時と比べると1.3兆元以上縮小した。
10月15日にも株価は5.24%下落し、時価総額は3兆元を割り込んだ。これにより、A株市場の時価総額ランキングで首位から3位に後退した。
市場が注目しているのは、3つの好材料が出ているにもかかわらず、長鑫科技の株価が下落を続けている理由だ。
黒字転換も 売上高・純利益の伸びが大幅鈍化
長鑫科技は10月16日夜、1~9月期の業績予想を発表した。売上高は2650億~2700億元、純利益は1310億~1325億元を見込み、前年同期の赤字から黒字に転換する見通しだ。
ただ、第2四半期は売上高が前四半期比95.9%増、純利益が同113.4%増だったのに対し、第3四半期の売上高は同15.25~20.3%増、純利益は同1.04~3.88%増にとどまる見通しで、伸び率はいずれも大幅に鈍化した。
長鑫科技は公告で、売上高と純利益の伸びが大幅に鈍化した理由を詳しく説明していない。一方、すでに業績予想を公表した中国のメモリー関連企業からは、業界環境の変化を示す説明も出ている。
「第一財経」によると、メモリーモジュール・ブランドメーカーの江波龍が最近公表した業績予想では、第3四半期の非経常項目を除いた純利益は前四半期比22~38%減となる見通しだ。
江波龍は、第3四半期も世界のメモリー市場では需給が全体として逼迫していたものの、前期までの価格上昇幅が大きかった反動もあり、DRAMとNANDフラッシュの価格上昇幅は明らかに縮小したと説明した。メモリー価格の上昇による収益押し上げ効果も弱まったという。
価格上昇幅の縮小については、市場調査会社も予測している。TrendForce集邦諮詢は、今年第3四半期の汎用DRAM価格が前四半期比13~18%上昇すると予測しているが、上昇幅は第2四半期から縮小する見通しだ。第4四半期にはさらに10~15%へ鈍化するとみている。
次世代メモリー技術で進展も 収益化の見通しは不透明
長鑫科技は2026年10月10日、4F² DRAMアーキテクチャーの研究開発で重要な進展があったと発表し、2026年末までに同技術を採用した次世代DDR5 RDIMM(企業向けサーバー用メモリー)製品を投入する計画を明らかにした。
ただ、業界では、長鑫科技の発表には製造歩留まりやウエハー生産量が明記されておらず、新アーキテクチャーは量産初期に歩留まりの確保が大きな課題になるとの見方が多い。
こうした情報が開示されない限り、競争力や量産時の採算性を備えているかどうかを判断するのは難しい。
自社株買いも規模小さく 株価への影響は限定的
また、業績予想の中で長鑫科技の董事長は、自己資金または調達資金を使い、市場で発行済み普通株の一部を買い戻すことを提案した。自社株買いの総額は10億元以上20億元以下としている。
一般に自社株買いには、株価を下支えし、押し上げる効果が期待される。
しかし、長鑫科技の時価総額が3兆元近いのに対し、自社株買いは最大20億元にとどまる。株価への直接的な影響は限定的で、会社側が今後の成長見通しへの自信を示す意味合いが強い。
業界アナリストの陳夢氏は「金融投資報」の取材に対し、「長鑫科技は業績予想で大幅な増益を示したにもかかわらず、株価は下落を続けている。背景にあるのは、『業績の実現』と『市場の期待』とのずれだ」と述べた。
さらに、「業界全体でみれば、メモリー価格の上昇と収益改善はすでにこれまでの株価上昇に十分織り込まれている。市場はむしろ、今後の価格下落や増産に伴う設備投資、減価償却負担を懸念しており、業績面の好材料がかえって『好材料出尽くし』の売りを誘った。また、海外ハイテク株の軟調な動きもA株市場に波及し、資金が高バリュエーションの成長株から流出しているため、個別銘柄だけが相場に逆行して上昇するのは難しい」と分析した。
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