サウジの送油管 復旧にどれくらいか 米エネルギー長官「数日で再開」

2026/09/17
更新: 2026/09/17

クリス・ライト米エネルギー長官は15日、サウジアラビアの東西パイプラインは「数日で」再開できると述べた。一方、損傷したパイプラインの復旧には数週間、場合によっては数か月かかるとの見方もある。ポーランドなどの主要な原油買い手は、代替調達に向けた緊急の対応を始めた。

パイプラインの復旧時期を巡り見方分かれる

サウジアラビアのパイプラインがいつ稼働を再開できるかを巡り、関係者の見方は大きく分かれている。衛星画像では、パイプラインの加圧ポンプ施設の一つが損傷していることが確認できる。

ライト氏は15日、米ヒューストンでCNBCの取材に応じ、「停止は短期間にとどまり、影響は日数単位で測れる」と強調した。また、今回の攻撃はイランが支援する組織によって計画されたと述べ、サウジアラビアは米軍の支援を受け、輸出の一部を再びホルムズ海峡経由に切り替えたと説明した。

ライト氏は14日のブルームバーグ・テレビジョンの取材でも、サウジアラビアは損傷の状況と必要な対応を慎重に評価しており、近く、より明確な進展があるとの見通しを示した。

業界関係者や事情を知る当局者の見方は、より慎重である。ある情報筋はロイター通信に、パイプラインの修理には5~6週間かかる可能性があると述べた。ただし、緊急修理の後、輸送能力の一部が先に回復する可能性もあるという。匿名の当局者はAP通信に、復旧には3~5週間かかる可能性があると語った。

エネルギーコンサルティング会社リポー・オイル・アソシエーツのアンディ・リポー社長は、「インターネット上に出回っている衛星画像を見る限り、修理には数か月かかる可能性がある」との見方を示した。

データ分析会社ケプラーの商品調査責任者、マット・スミス氏によると、このパイプラインは毎日約400万~450万バレル、世界の供給量の約4%に当たる原油を紅海へ輸送している。1か月間停止すれば、世界市場では約1億2千万バレルの原油供給が失われる可能性があるという。

サウジアラビア政府は現時点で、パイプラインの停止を「予防措置」と位置付けている。損害評価報告書は公表しておらず、停止がどのくらい続く見込みかも明らかにしていない。国営石油会社サウジアラムコもコメントしていない。

サウジ、追跡信号を切った船でホルムズ海峡を通航

サウジアラビアは過去6か月間、東西パイプラインを使ってホルムズ海峡の封鎖を回避してきた。原油をパイプラインで紅海沿岸のヤンブー港へ送り、そこから各国へ輸出していたが、現在はヤンブー港での原油積み込みを全面的に停止している。

石油取引や海運の関係者は9月15日、ロイター通信に対し、サウジアラビアはホルムズ海峡経由の原油輸出を増やすため、アラブ首長国連邦(UAE)やイラクと同様に、船舶の追跡信号を切って航行する、いわゆる「幽霊船運」を試みていると明らかにした。

現在、ペルシャ湾岸の産油国はこうした航行方法によって、戦争前の輸出量の30~40%に相当する、日量700万~900万バレルの原油輸出を維持している。

エネルギー分析会社ボルテクサのデータによると、サウジアラビアは9月7~13日の週に、ラス・タヌラとジュアイマで計12隻の船に2200万バレルの原油を積み込んだ。船舶数は、それまでの3週間の平均である週6~7隻を大きく上回った。

原油の買い手、代替調達先を探す

サウジアラビアは先に、欧州の買い手に対し、9月積みの原油の一部を取り消すと通知した。多くの欧州の顧客が代替調達先を積極的に探している。ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると、北海ブレント原油先物の取引価格は現在1バレル=108ドル前後で、一時は120ドルを超えていた。

ポーランドの総合エネルギー大手オルレンは、ポーランド、リトアニア、チェコに製油所を持ち、直接的な影響を強く受けている。同社はロシア産原油への依存から脱却するため、2022年からサウジアラムコを最大の供給元とし、調達量の約40%を同社から確保してきた。現在は原油の供給網が途絶えるリスクに直面している。

オルレンは、サウジアラビア産原油の供給停止による不足を補うため、原油の確保を急いでいる。業界事情に詳しい5人がロイター通信に明らかにしたところによると、同社はここ数日で、グラーネ、ヨハン・スベルドラップ、ヨハン・カストベルグの各油田から北海産原油を数回に分けて購入した。代替原油として、米国産のWTIミッドランドやカザフスタン産のCPCブレンドも購入した。

オルレンは具体的な商取引についてコメントを控えた一方、傘下の製油所への原油供給を正常に維持するため、調達先の組み合わせを積極的に調整していると強調した。

呉瑞昌