再生可能エネルギーを推進していたテック大手 なぜ従来型電源への投資に転じたのか

2026/09/06
更新: 2026/09/06

かつて風力発電や太陽光発電を積極的に推進していたテクノロジー大手が、現在では大型の天然ガス火力発電所や原子力発電所の建設に乗り出している。急速に発展する人工知能(AI)に必要なデータセンターへ、年間365日、1日24時間、安定した信頼性の高い電力を供給するためである。

長年にわたり、米国最大手のテクノロジー企業は、風力発電と太陽光発電を最も積極的に支持してきた企業群だった。

マイクロソフトはかつて、消費する電力をすべて再生可能エネルギーで賄うと約束し、2030年までに「カーボンネガティブ」を実現する方針を掲げた。Meta(旧Facebook)は、電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを約束する世界的な企業連合「RE100」に加盟した。シリコンバレーは再生可能エネルギー事業に数十億ドルを投じ、政治的影響力を利用して、化石燃料の使用に反対する運動を支援してきた。

AIがもたらした変化

その後、AI時代が到来した。すると、それまで私たちに化石燃料を手放すよう求めていた企業が、今度は十分な天然ガスを確保できないという状況に直面した。

今年6月、マイクロソフトはシェブロン(Chevron)と20年間の契約を締結し、「キルビー・プロジェクト」を共同開発することになった。これはテキサス州リーブス郡で、マイクロソフトのデータセンターへの電力供給を目的として建設される天然ガス発電事業で、計画設備容量は約2.7ギガワットである。大型原子炉2基分に相当する発電規模で、2028年末の初発電を予定している。

重要な点の一つは、この発電所が「ビハインド・ザ・メーター(behind-the-meter)」方式で設計されていることである。つまり、テキサス州の公共電力網には接続せず、データセンターへ直接電力を供給する。

さらに、この20年間に及ぶ共同事業は「移行期」の対策ではなく、むしろ長期的な「結婚」に近い。

Metaの動きはさらに積極的である。ルイジアナ州リッチランド郡にある同社の「ハイペリオン」(Hyperion)データセンター群は、5ギガワット規模のコンピューティング能力への拡大が進められている。

Metaの動きはさらに積極的である。ルイジアナ州リッチランド教区にある同社の「ハイペリオン(Hyperion)」データセンター群は、5ギガワット規模のコンピューティング能力への拡大が進められている。

Metaは、新たに約10カ所の天然ガス火力発電所の建設費を負担する。総設備容量は約7.5ギガワットに達し、小規模な州一つの電力需要を賄えるほどの規模である。

先月、Metaは約10年間加盟していたRE100から脱退し、現在も、自社の電力使用量をクリーンな再生可能エネルギーと同量にしていると主張している。これは主に、再生可能エネルギー証書(REC)の購入と電力購入契約によって実現している。

しかし、書類上で年間の電力使用量と再生可能エネルギー量を「相殺」することは、自社のデータセンターが毎分毎秒、再生可能エネルギー(グリーン電力)で稼働していることを意味するわけではなく、ルイジアナ州で風のない午前2時に、実際にデータセンターへ供給されている電力が再生可能エネルギーであることとは、まったく別の問題である。

安定した電力への需要

私はマイクロソフトやMetaを非難しているのではない。それどころか、テクノロジー大手が現実に向き合う姿勢を評価している。

AIの稼働には途切れることのない電力が必要である。数十億ドルを投じたサーバー施設にとって、風が吹いているかどうかや、政治家がどのような約束をしたかは関係ない。必要なのは年間365日、1日24時間の電力供給である。

数千億ドル規模の巨額投資がかかっている場合、テクノロジー大手は、多くの政策立案者が今なお避け続けている事実を理解している。「供給できるかもしれない電力」と「必要な時に供給できる電力」は同じものではない。

テクノロジー大手のサステナビリティー報告書に何と書かれているかではなく、実際にどこへ資金を投じているかを見るべきである。

現在、テクノロジー大手が必要としている「安定供給電力(firm power)」は、天然ガスによる発電を意味し、さらには原子力発電を意味する。

マイクロソフトは、ペンシルベニア州スリーマイル島(Three-Mile Island)の原子炉を再稼働させるため、20年間の契約を締結した。Metaも、イリノイ州のクリントン(Clinton)原子力発電所に関する20年間の契約を締結した。

その一方で、両社は風力発電や太陽光発電も大量に調達している。AIの発展が示しているのは、再生可能エネルギーに価値がないということではない。「グリーン」エネルギーだけでは、途切れることのない電力を供給できないということである。

例えば、ある家庭がガソリンを必要としない車を購入したとしよう。ただし、その車は天候が適している時にしか走れないという条件がある。その家庭がいつでも外出できるようにしたいのであれば、信頼できるガソリン車を手放すことは決してないだろう。

電気料金は上昇

電気料金を支払うすべての利用者にとって、料金の上昇は懸念材料である。

現在開発中のデータセンター事業のうち、約4分の1は敷地内に自前の発電設備を建設する計画である。追跡対象となっている59件の事業を合わせると、約90ギガワットに上る。

テクノロジー大手は単に安定した電力を購入しているだけではない。自ら資金を投じ、電力網から「離脱」しようとしているのである。そして、既存の電力網の信頼性が低下し、コストが高騰したことには、まさにこうしたテクノロジー大手によるロビー活動も関係している。

一般家庭、工場、病院、農場は自前の発電設備を持つことができず、政策立案者が構築した仕組みに頼らざるを得ない。

その仕組みでは、風力や太陽光など天候に左右される発電への依存度を高める一方、必要に応じて稼働できる石炭火力発電所や原子力発電所を閉鎖している。その結果、利用者は二つの電力供給システムの費用を負担しながら、実際に利用できるのは一つのシステムだけという状況になっている。

私たちが支払う電気料金は上昇し続けている。2022年以降、米国の平均電気料金は着実に上昇している。一方、電力会社はデータセンター向けの発電所や送電線を建設するため、数十億ドル規模の投資を認めるよう規制当局に求めている。

もし需要が予想ほど増えなかった場合、その費用は誰が負担するのだろうか。

そこで、明白な疑問を投げかけたい。

マイクロソフトのサーバーが、安定し、必要な時にいつでも使える電力を確保するため、20年間の契約を結び、数十億ドルを投じて新たな天然ガス発電設備や原子力発電設備を建設する価値があるというのであれば、なぜ私たちの工場、病院、農場、家庭は同じ扱いを受けられないのだろうか。

ルールを定めるのは各州の議員と規制当局である。実際に稼働可能な発電能力に対価を支払い、公平かつ合理的な価格を設定し、今なお必要としている発電所を強制的に閉鎖することをやめることもできる。

もしかすると、AIが私たちにもたらす最初の大きな貢献は、コードを書くことでも、質問に答えることでもないのかもしれない。

それは、米国人が本来忘れるべきではなかったことを思い出させることである。人々が必要とする時に、直ちに供給できる電力にこそ、本当の価値があるのだ。

*訳者注:著者のフランク・ラシー(Frank Lasee)氏は「Truth in Energy and Climate」の代表で、元ウィスコンシン州上院議員。原文「Big Tech Loved Green Energy–Until It Needed Reliable Power」はDaily Signalに掲載され、著者の許可を得て大紀元が中国語訳を掲載した。小見出しは訳者が付けた。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。