パナマ運河で水不足再び 米国産原油・LNG 日本への輸送に影響も

2026/08/22
更新: 2026/08/22

パナマ運河で水不足が再び深刻化している。エルニーニョ現象の影響で降雨量が減り、運河を支える貯水池の水位が低下しているためだ。

パナマ運河庁は8月20日、通航制限を設けないとしていた従来の方針を撤回した。9月4日から1日当たりの通航船舶数を34隻に制限し、15日からは32隻に減らす。

水位がさらに低下すれば、追加の制限に踏み切る可能性もある。

パナマ運河は、太平洋と大西洋を結ぶ全長約80キロの主要航路だ。スエズ運河とは異なり、船舶を上下させる閘門に大量の淡水を使うため、降雨量と貯水池の水位が通航能力を左右する。

2023~2024年の深刻な干ばつでは、1日当たりの通航船舶数が一時22隻まで減少し、船舶が数週間待たされる事態となった。優先通航権を得るため、数百万ドルを支払う船も現れた。

LNG船の半数がアフリカ迂回

今回も海運会社はすでに対応を迫られている。

Vortexaのシニア石油市場アナリスト、ロヒット・ラソッド氏によると、長期の通航予約を確保していない船会社や、高額な優先通航料を負担できない船会社の間で、アフリカ南端の喜望峰を迂回する動きが広がっている。

今年8月に入ってから、アジア向けLNG運搬船のおよそ半数が喜望峰経由を選んでおり、過去10年間で最も高い割合となった。

米ヒューストンから日本まで大型LNG運搬船で輸送する場合、パナマ運河経由なら約26日だが、喜望峰を回ると約45日かかる。

航海日数が延びれば、燃料費や船舶の運航コストも増える。

日本のエネルギー調達にも影響

パナマ運河の通航制限は、日本のエネルギー調達にも無関係ではない。

日本は原油の大半を中東から輸入しているが、最近は供給先の多角化を進め、アメリカ産原油の調達も増やしている。

アメリカ湾岸から日本へ原油を運ぶ際には、パナマ運河が主要な輸送ルートの一つとなる。このため通航枠が減れば、輸送の遅れや通航料の上昇につながる恐れがある。

パナマ運河を避けて喜望峰を回れば、輸送期間はさらに長くなる。

日本が中東への依存を減らし、アメリカ、などからの原油やLNG調達を増やすなか、パナマ運河の水不足は新たな輸送リスクとなっている。

エルニーニョ長期化で水位低下

パナマでは今年5月以降、気温が記録的な高さとなる一方、運河周辺の降雨量は平年を大きく下回っている。

ノースイースタン大学のサミュエル・ムニョス准教授は、貯水池の水位が低下すれば、節水のため通航船舶数を減らす必要があり、世界の物流や経済にも影響が及ぶと指摘する。

米海洋大気局(NOAA)気候予測センターによると、今年のエルニーニョ現象はさらに強まる見通しで、2026~2027年の北半球の秋から冬にかけて「非常に強い」規模となる確率は90%を超えている。

パナマ運河庁は長期対策として、インディオ川に新たな貯水池を建設する計画も検討している。

李平