中国各地の学校で、生徒による集団抗議が相次いでいる。中秋節の帰宅や夜間の自習時間の削減など、個々の生徒が抱える不満が大規模な集団行動へと発展するケースもみられ、背景にある教育環境や学校の管理体制に注目が集まっている。
今月下旬、福建省寧徳市の霞浦第一中学では、千人を超える生徒が数日間にわたり、校舎から一斉に声を上げる「喊楼(ハンロウ)」やデモ行進を行った。中秋節前も夜間の自習を続ける学校側の方針に抗議し、早期の帰宅を求めたものだ。
生徒の代表者は学校側と協議したものの、学校側は夜間の自習を取りやめなかったという。さらに、生徒らに対して「騒ぎを起こさないように」と警告し、従わない場合には処分する可能性を示したとされる。
中国では今年、同様の学校内での抗議が各地で相次いでいる。
7月には湖北省安陸第一中学で、夏休みが大幅に短縮されたことに生徒が抗議した。5月には山東省汶上第一中学で二千人以上の生徒が集まり、「休みをよこせ」などと声を上げたとされる。
このほかにも、携帯電話の使用禁止や補習授業、校則などをめぐり、生徒が学校側に抗議する事例が報告されている。
中国の人権派弁護士、游飛宇氏は、こうした動きについて、生徒が大きな学習上のプレッシャーにさらされていることに加え、休息や自由を求める声が抑え込まれてきた結果、不満が一気に噴き出していると指摘している。
游氏はまた、中国の学校には中国共産党の統治体制と共通する構造があるとし、「学校側は課題や学習目標の達成を過度に重視している」との見方を示した。
学校内の問題に見える一連の抗議の背景には、中国社会に広くみられる権力関係があるとの見方もある。管理する側が一方的に規則や方針を決め、異議を申し立てる側には服従が求められるという構図だ。
米人権団体フリーダム・ハウスが運営する「中国異議監測」によると、昨年、中国で記録された抗議活動は5343件に上り、前年から44%増加した。教育をめぐる抗議も各地で繰り返し発生している。
こうした学校での厳しい管理は、中国の大学入試制度とも密接に結びついている。
夜間の自習や補習授業、休暇の短縮、厳格な校則などを通じて、多くの生徒が激しい進学競争にさらされ、自由に使える時間を制限されているという。
海外中国人権派弁護士連盟の理事長、呉紹平氏は、教育制度が若者を従順にさせるために利用されているとし、「中共は、若者が本来持っている抗争精神や勇気を削ぐために、教育制度を利用している」と述べ、大学入試を中心とした教育制度が若者を強く管理する仕組みになっているとの認識を示した。
一連の学校内抗議は、単なる校則や休暇をめぐる問題にとどまらず、中国社会における権利意識や意思表示のあり方をめぐる問題を浮き彫りにしているとの指摘もある。
学校や行政などに対して不満や異議を申し立てる際、十分な協議や救済の手段が確保されていなければ、本来は個別に解決できる問題であっても、集団抗議という形で表面化する可能性がある。
生徒たちによる相次ぐ抗議は、教育現場における管理と学習負担の問題だけでなく、中国社会における異議申し立てのあり方を考える上でも、注目すべき動きとなっている。
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