中国 「ダムは大丈夫か」ネットで不安広がる

三峡ダム下流が「戦時状態」に 台風13号で厳戒=中国

2026/08/12
更新: 2026/08/12

「戦時状態に入る」

戦争の話ではない。中国湖北省で、台風13号による大雨に備えて出された異例の指示である。しかも場所は、巨大な三峡ダムのすぐ下流だ。

三峡ダムがある宜昌市の教育局は8月10日、市内の教育機関を「全面的に戦時状態」にすると通知した。11~12日は対面授業などを停止し、学校や教育当局の責任者には24時間態勢で待機するよう求めた。

背景にあるのは台風13号である。中国では「白海豚(ドルフィン)」と呼ばれ、浙江省に上陸した後、進路を大きく変えて内陸へ向かった。湖北省など各地では洪水への警戒が強まり、当局はダムや貯水池への影響にも注意を呼びかけている。

ただ、「戦時状態」という言葉はあまりに物々しい。

中国や海外のSNSでは、宜昌市が三峡ダムの下流にあることから、「大量放流を警戒しているのでは」「三峡ダムが危ないという話は、本当なのではないか」との憶測が広がった。

こうした不安が広がるのには理由がある。世界最大級の水力発電ダムである三峡ダムは、万一決壊すれば長江流域に甚大な被害をもたらすとして、安全性をめぐる議論が以前から続いてきた。

さらに7月には、三峡グループの内部関係者を名乗る人物が「三峡ダムの決壊は時間の問題だ」と告発。中国当局が作成したとされる決壊シミュレーション資料も海外で公開された。資料では、武漢、南京、上海など29都市、約1億3200万人への影響が想定されている。

 

三峡ダム決壊から1週間後の被害を想定したとされるシミュレーション資料。洪水は長江沿いに武漢、南京、上海方面へ広がり、影響人口は約1億3200万人に達するとしている。(ネット流出資料)

 

現時点で、三峡ダムに異常が起きているとの情報も確認されていない。今回の「戦時状態」は、発表上はあくまで台風と洪水への備えである。

それでも、そんな三峡ダムのすぐ下流で突然飛び出した「戦時状態」の四文字。人々が「何か起きるのでは」と身構えたのには、それなりの理由があった。

 



「三峡ダム決壊は時間の問題」内部資料流出か=中国

「(中国)三峡ダムの決壊は時間の問題で、死者は爆発的に増え、被災者は4億7千万人に及ぶ」内部関係者と名乗る人物がそう警告し、決壊シミュレーション資料画像も流出した

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!