「約4千万円のイヤリング」をめぐり炎上した中国の若手女優・黄楊鈿甜(ホアンヤン・ティエンティエン、19歳)騒動から約1年、その影響が主演ドラマにまで及んでいる。
8月4日に配信が始まった主演ドラマ『人魚』は、話題作『三体』を手がけた楊磊(ヤン・レイ)監督の作品。しかし初日の視聴成績は低調で、同時期のドラマで12位にとどまった。
さらに目を引いたのが宣伝の仕方だ。初日の広告はゼロ。配信直前まで大々的な宣伝をせず、公式の宣伝でも主演女優である黄楊鈿甜の名前を前面に出さなかった。
背景にあるのは、昨年の「高額イヤリング騒動」である。
黄楊鈿甜は18歳の誕生日に写真を公開。その際に身につけていたイヤリングが、高級ブランド「GRAFF」の約4千万円の商品ではないかとネットで話題になった。
「18歳で、なぜこれほど高価なものを持てるのか」
疑問はすぐに本人から家族へ向かった。父親が元公務員で、その後会社を経営していたことなどが次々と掘り起こされ、「これほどの資産はどこから来たのか」と疑う声が広がった。
地元当局も父親について調査を開始。イヤリング自体については「模造品」と説明したものの、一度広がった不信感は簡単には消えなかった。
なぜ ここまで反感を買ったのか
背景には、今の中国社会が抱える生活への不安がある。
若者の就職難が続き、収入や将来への不安を抱える人が増えるなか、著名人やその家族が見せる桁違いの豊かさには、以前にも増して厳しい目が向けられる。
だから今回、人々が問題にしたのは「若い女優が高級品を身につけた」ということだけではなかった。
「元公務員だった父親を持つ家庭が、なぜこれほど裕福なのか」
そこから、「親の立場や人脈によって得た金ではないのか」という疑念や、社会の不公平に対する不満へと火がついた。
黄楊鈿甜自身に不正があったと確認したわけではない。それでも彼女は一部の人々から、裕福な家庭に生まれ、その恩恵を受ける若者の象徴のように見られるようになった。
その反発は、新作ドラマにも持ち込まれた。『人魚』の配信が始まると、ネットでは「見ないことが私の意思表示だ」と、作品そのものを拒む声まで上がった。
一枚の誕生日写真に写ったイヤリングから、父親の経歴、家族の資産、そして娘の仕事にまで広がった今回の騒動。
人が本当に問題にしているのは、4千万円という値段だけではない。
「その金は、どこから来たのか」
その疑問の裏には、厳しい生活を送る人が感じる、中国社会の格差と不公平へのいら立ちがある。
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