大規模災害時に東京の首都機能を代替する地域を整備する「副首都法案」は7月15日、衆院本会議で、自民党、日本維新の会、チームみらいなどの賛成多数により可決し、参院に送られた。
しかし、立憲民主党など参院の野党6党は16日、法案に反対し、否決を目指す方針で一致した。参院での審議入りにも応じない考えを与党側に伝えており、成立の見通しは不透明となっている。
災害時に東京の中枢機能を代替
副首都法案は、首都直下地震などの大規模災害によって、東京の政治、行政、司法、経済などの中枢機能を維持できなくなった場合に、その機能を一時的に代替する地域を整備するための法案である。
一定の人口や経済規模を持ち、東京圏との同時被災の可能性が低い道府県を「副首都」に指定することを想定している。
副首都に指定した地域では、国の機関の拠点や交通・通信網、都市基盤の整備を進めるほか、規制緩和や税制措置によって民間投資を促すとしている。
災害への備えに加え、人口や企業が東京に集中する状況を緩和し、複数の地域に経済の中核を形成する狙いもある。
大阪都構想との関係に批判
日本維新の会が大阪の副首都化を強く推進していることから、野党は「大阪ありきの法案ではないか」と批判している。
大阪都構想は、大阪市を廃止して複数の特別区に再編し、大阪府と特別区で行政の役割を分担する構想である。推進側は、府と市が似た事業を行う「二重行政」を解消し、大阪全体の政策を府に一本化することを目的に掲げてきた。
一方、反対側からは、大阪市という自治体がなくなることや、市の税収や財産の扱い、行政コスト、住民サービスへの影響などを懸念する声が出ていた。
大阪都構想をめぐっては、大阪市を廃止して特別区を設けることの是非を問う住民投票が2015年と2020年に行われ、いずれも反対多数で否決した。今回の法案では、住民投票の対象を大阪府民全体に広げる案も検討したが、自民党内の反発を受け、提出前に削除した。
副首都法案と大阪都構想は別の制度だが、法案には特別区を設置した副首都が一定の手続きを経て「都」を名乗れる規定が盛り込まれている。このため野党は、過去に否決した大阪都構想を後押しする狙いがあると指摘している。
参院野党6党が否決を目指す
立憲民主党、国民民主党、公明党、参政党、共産党、れいわ新選組の参院野党6党は16日、法案に一致して反対し、否決を目指す方針を確認した。国会の会期を延長して審議する場合にも、「法案の問題点を国民に理解してもらうための十分な時間が必要だ」と主張している。
参院では少数与党となっており、自民、維新両党に、野党で唯一法案に賛成しているチームみらいの議席を加えても過半数に届かない。
このため、野党6党が足並みをそろえて反対すれば、法案の可決は難しい情勢である。
成立の見通しは不透明
法案は衆院を通過したものの、副首都が具体的にどの機能を担うのか、整備費を国と自治体がどのように負担するのかなど、制度の詳細には不明確な点が残る。
野党からは、国家の統治機構に関わる重要な法案であるにもかかわらず、十分な審議が行われていないとの批判も出ている。
東京の中枢機能を代替する体制をどのように整備するのか。大阪都構想との関係を含め、参院で十分な議論が行われるかが焦点となる。
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