木原稔官房長官は7日の記者会見で、ロシア地理学会サハリン州支部が北方領土内の無人島を旧ソ連のスパイ、リヒャルト・ゾルゲにちなんで命名すると発表したことについて、事実関係を確認した上で、日本の立場に基づき適切に対応する考えを示した。
木原長官は「政府としては北方領土にかかる我が国の立場をあらゆる機会を捉えてロシア側に伝達してきている」と述べた。その上で、「今回のロシア側の発表も踏まえ、まずは正確な事実関係を確認した上で、北方領土問題に関する我が国の立場に基づき、適切に対応する考えだ」と語った。
また、今回の発表については「承知している」と述べた。
ロシア地理学会サハリン州支部は7月28日、小クリール諸島(日本が北方領土とする色丹島、歯舞群島)の無人島の一つをゾルゲにちなんで命名すると発表した。
ゾルゲは太平洋戦争前、東京でドイツ人記者として活動する一方、日本やドイツ政府の機密情報を収集し、旧ソ連へ送っていたスパイ。1941年に日本当局に逮捕され、1944年に死刑が執行された。一方、ソ連では後に国家に貢献した英雄と位置付けられ、1964年には死後、「ソ連邦英雄」の称号を授与された。現在のロシアでも英雄視されている。
同支部は命名の目的について、「ロシア極東の国境の不可侵性を法的に確保し、次世代に自国の偉大な歴史を伝える役割を果たすため」と説明している。日本側は、北方領土に対するロシアの実効支配を既成事実化する狙いがあるとみている。
北方領土を巡っては、日本政府は択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島からなる北方四島を日本固有の領土としており、ロシア側による地名変更などの動きに対しては、これまでも抗議してきた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。