米国「ICC解体」主張に日本政府対応苦慮 外相「懸念を持って注視」

2026/07/14
更新: 2026/07/14

米国が国際刑事裁判所(ICC)の解体を主張し、日本政府は難しい対応を迫られている。日本はICC支持を維持する一方、同盟国の強硬姿勢を前に慎重な外交判断を続けている。

同盟国の米国と、日本人が所長を務める国際司法機関との間で対立が表面化する中、日本政府は対応に苦慮している。茂木外務大臣は14日の記者会見で、アメリカが国際刑事裁判所(ICC)の解体を主張していることについて、「懸念を持って注視している」と述べた。そのうえで、ICCへの支持を維持する考えを示した。

米国側の発言の発端は、13日にルビオ国務長官がアメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿した内容である。ルビオ長官は、ICCについて「あらゆる手段を用いて解体すべき対象だ」と主張した。ICCが2020年に、アフガニスタンにおける米軍の行動を巡る戦争犯罪捜査を認めたことについて、アメリカの主権に対する攻撃だと非難している。

また、アメリカ国務省も同日、ICCを自国の主権に対する脅威と位置づける声明を発表した。あわせて、同盟国に対しICCからの脱退を呼びかける方針を明らかにし、制裁の強化も示唆している。アメリカはICC設立条約=ローマ規程の締約国ではないが、トランプ政権下でもICC関係者への制裁を行ってきた経緯がある。今回、「解体」にまで踏み込んだ発言は異例とみられる。

日本政府の立場と外相発言の真意

14日の茂木外務大臣の記者会見では、イギリスのフィナンシャル・タイムズの記者が、日本政府に対し、米国からICC支持の撤回を求められる可能性や、支持撤回の考えの有無、現時点での立場について質問した。

これに対し茂木外務大臣は、「我が国は重大な犯罪の撲滅と予防、法の支配を重視しており、常設の国際刑事法廷であるICCを一貫して支持してきた」と述べ、支持を継続する考えを示した。一方で、アメリカの方針についての直接的な評価は避け、「懸念を持って注視している」と述べるにとどめた。

今後の対応については、「米国の動向を踏まえながら、ICCや米国、ほかの締約国と意思疎通を図り、適切に対応したい」と述べ、具体的な対応には言及しなかった。

ICC所長 日本人赤根智子

今回の問題は、日本にとって外交上の課題にとどまらない側面もある。ICCの所長は、2024年に日本人として初めて就任した赤根智子氏である。赤根氏は、ロシアのプーチン大統領に対する逮捕状の発付に関与したとして、ロシアから指名手配されている。

また、ICCの裁判官の一部はアメリカの制裁対象となっており、報道では制裁の影響で日常的なオンラインサービスの利用に支障が出ているケースもあるとされている。

さらに、日本はICCの主要な分担金拠出国の一つとされている。日本にとって、自国出身者がトップを務める国際機関のあり方を巡り、同盟国のアメリカが解体を主張している状況は、難しい判断を迫るものとなっている。