「私は北京で堂々と反共をやっている。悔しいか? 捕まえに来い」
そう投稿した約5時間後、本当に警察が自宅へやって来た。
中国で政権風刺を続けてきた独立映画監督でYouTuberの張内咸(本名・張鵬)氏が、北京市公安局に刑事拘留された。家族が張氏のYouTubeチャンネルを通じて明らかにした。
家族によると、7月1日午後11時ごろ、複数の警察官が北京市内の自宅を訪れ、張氏に手錠をかけて連行した。北京市公安局が家族に交付した拘留通知書によると、張氏は翌2日、「尋釁滋事罪(社会の秩序を乱した罪)」の疑いで刑事拘留されたという。
「尋釁滋事」とは、公共の秩序を乱した行為などを取り締まる中国の罪名である。しかし適用範囲が極めて広く、政権に批判的な言論人や人権活動家の拘束にも使われてきた。このため、中国では「何でも入れられるポケットのような罪」として、「ポケット罪」とも呼ばれている。

共産党創建記念日に反共投稿
拘束された7月1日は、中国共産党(中共)の創建記念日だった。同日午前、張氏はXに「人間のクズが105歳まで生きたら、それはもうクズではないのか」と投稿し、中共を強烈に罵倒した。その内容を中国SNS微博(ウェイボー)にも投稿すると、共産党支持者らによる批判や警察への通報が相次ぎ、アカウントはその日のうちに停止した。
それでも張氏はXで、「私は北京で堂々と反共をやっている。悔しいか? 捕まえに来い」と投稿。さらに批判を続けた後、午後11時ごろに自宅から連行された。
投稿や集団通報が拘束の直接的な原因だったかは確認していない。ただ、共産党を批判した当日にアカウントが封鎖され、警察に連行された時系列から、発言内容の問題視の可能性が高い。
人気チャンネル 突然の沈黙
張氏は複数の独立映画を手がける一方、YouTube番組「張内咸の毒舌トーク(張内咸脱口秀)」で中国の政治や社会問題を風刺してきた。登録者は約5万人に上り、共産党や検閲を笑いに変える鋭いトークで知られていた。
同チャンネルは7月4日に新しい動画を公開する予定だったが、更新が突然途絶えた。異変を感じた視聴者から安否を心配する声が上がる中、家族が拘束を公表した。
中国国内では、この事件に関する公開報道や議論はほとんど見られない。一方、台湾などでは「勇者だ」「中国では言葉を発するだけでも命がけだ」と支援の声が広がった。
「捕まえに来い」という挑発に、本当に警察が応じたのか。それとも、当局は以前から張氏の発信を監視していたのか。拘束の詳しい理由は、今も明らかにしていない。

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