EU対中貿易摩擦が農業分野へ 中国産アヒル肉にダンピング調査

2026/07/10
更新: 2026/07/10

EU域内の複数の生産者が、中国産アヒル肉の不当に安い輸入価格によって業界が打撃を受けていると訴えた。欧州委員会は7月9日、中国産アヒル肉のダンピング疑惑について調査を開始した。北京ダックに使われるアヒル肉をめぐる今回の問題は、EUと中国の貿易摩擦をさらに強めている。

今回の調査は、EUと中国の関係が緊張する中で始まった。EUは安価な中国製品の流入から域内市場を守ろうとしている。一方、中国共産党(中共)側は利益の大きい欧州市場への輸出を維持しようとしている。欧州委員会は、EUと中国の貿易赤字が拡大し、現在では1日あたり10億ユーロに達しているとして、「持続不可能だ」と問題視している。

欧州委員会によると、中国の北京ダック用アヒルの生産者は、中共の五か年計画に基づく補助金、優遇融資、安価な大豆飼料の恩恵を受けているという。

ヨーロッパの生産者は、中国からの低価格輸入品が自分たちの売上と利益を侵食していると主張している。欧州委員会は申立人の具体名を明らかにしていないが、EU域内の生産者5社が、中共が農業近代化に関する五か年計画を通じて国内生産に不公正な補助を行っていると訴えたことを明らかにした。

EUはこれまでにも、中共の不公正な貿易慣行に対して複数の貿易救済措置を講じてきた。しかし、EUが中国の農業分野を直接対象とするのは今回が初めてである。

これまでEUの主な対象は、化学製品やEVなどの工業製品だった。これに対し、中共は豚肉、乳製品、コニャックに関税を課し、ヨーロッパ農家という影響力の大きい国内圧力団体を通じて、EU加盟国政府に圧力をかけようとしてきた。

欧州委員会は9日、今回の北京ダックに使われるアヒル肉をめぐる調査について、中国からの輸入品の数量と価格が「EUの関連産業の販売量、価格水準、市場シェア」に「悪影響」を及ぼし、業界全体の業績に「深刻な悪影響」をもたらしていると指摘した。

欧州委員会は調査開始を発表した通知で、「申立人は、(中共が)現地の大豆加工工場や配合飼料工場に補助金を与えることでアヒル飼料の供給を支援し、特に山東省などで地域単位の飼料生産拠点の発展を促しているとも指摘している」と述べた。

疑いが認定されれば、EUは中国産の生鮮、冷凍、または燻製のアヒル肉に関税を課す可能性がある。

EUと中国の貿易不均衡は「持続不可能」

EUの家禽業界を代表する団体AVECは、今回の措置を歓迎した。

AVECのビルテ・ステーンベルグ事務局長はEuractivに対し、「AVECは、調査によってダンピング輸入の存在と、それがEUの生産者に実質的な損害を与えていることが確認されると確信している。そのため、公正な貿易を回復するため、できるだけ早期に反ダンピング関税が課されることを期待している」と述べた。

今回の調査開始に先立ち、EUは数か月前、中国の家禽肉とウサギ肉の輸出に関する食品安全検査に不備があるとする監査結果を公表していた。欧州委員会の報道官によると、中共は是正措置を講じたものの、欧州委員会は関連輸入を停止していない。ただし、追加監査は2026年秋に予定されている。

国連食糧農業機関データによれば、世界では年間500万トンのアヒル肉が生産されており、そのうち480万トンが中国産である。

2025年のEUのアヒル肉市場規模は8億ユーロと推計され、中国からの輸入額は1億9900万ユーロだった。

EUのマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員(通商担当)は6月29日、ブリュッセルで中共の王文濤商務相と会談し、公正な競争環境の回復と貿易不均衡の是正を目指す協議を開始した。EU側は、この貿易不均衡がすでに「持続不可能」な状態になっているとしている。

EUは2024年、中国製EVに追加関税を課した。これに対し、中共はEU産のコニャック、豚肉、乳製品を対象とする調査や制裁措置を打ち出している。

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