「返済したはずなのに、銀行から『まだ借金が残っている』と請求された」。
中国で、多くの利用者がこんな異例の金融トラブルに巻き込まれている。
問題となったのは、約70の金融機関と提携し、登録ユーザー約2億6千万人を抱える融資仲介会社「桔子科技(きっしかぎ)」。利用者はアプリを通じて銀行から借り入れを行い、返済もアプリ経由で続けていた。
ところが、その返済金が銀行へ送られていなかった疑いが浮上した。そのため、利用者はきちんと返済したつもりでも、銀行では「未払い」のままとなり、突然、督促を受ける事態になった。
本紙の取材で、被害の実態も明らかになってきた。河北省の女性は、友人から「借りてすぐ返せば謝礼がもらえる」と勧められ、利用を始めたという。借り入れと返済を繰り返すだけで、数十元(数百円~2千円程度)の謝礼が受け取れるため、「新規利用者を増やすキャンペーンのようなものだと思っていた」と振り返った。
また、貴州省の女性が「最初は詐欺メールだと思った」と振り返った。それまで銀行から督促を受けたことは一度もなく、事件が明るみに出る直前になって突然、返済を求める通知が届いたためだ。「きちんと返済してきたのに、なぜ今になって請求されるのか分からない」と話している。
被害は数万~10万人以上に及ぶとの見方もあり、数百人が遼寧省営口市の陳情窓口に集まり救済を求めた。現場では警察による強制排除を受けたと被害者らが訴えている。
利用者が最も恐れているのは、返済した証拠があるのに「延滞者」と記録されることだ。中国では信用情報に傷が付くと、住宅ローンや新たな借り入れが難しくなり、場合によっては就職や日常生活にも影響する。単なる請求トラブルでは済まないのである。
銀行と提携する大手サービスだからこそ、多くの人が安心して利用していた。その「安心」が、一夜にして崩れた。誰もが「まさか自分が」と思って始めたことが、人生を左右する金融トラブルへと変わってしまった。
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