ホルムズ海峡でタンカー600隻滞留 原因は船底の海洋生物付着と清掃コスト

2026/06/25
更新: 2026/06/25

米国とイランが覚書に署名したあと、ホルムズ海峡は速やかに通常の状態に戻るとの見方が出ていた。しかし、現時点でも最大で600隻の大型タンカーが海上にとどまり、通航できない状態が続いている。

原因は機雷ではなく、船底に付着した海洋生物である。これらのタンカーは、ペルシャ湾の温暖な海域におよそ4か月間停泊していたため、船体にはフジツボやムール貝、ハマグリ、藻類などが広範囲に付着している。

この影響で、船舶は通常の航行が困難な状態となっている。運航を再開するには、潜水作業による船底清掃が必要とされ、費用の負担も求められる。

専門家は、滞留している多数の船舶への対応には延べ数千時間の作業が必要になる可能性があると指摘している。このため、ホルムズ海峡の通航正常化はさらに遅れるおそれがある。

海洋メンテナンスを手がける潜水会社の社長、ブライアン・マッコーリー氏はCNNの取材に対し、「船底清掃の技術自体は特別に高度ではないが、タンカーの規模が大きく、作業は容易ではない」と述べている。

また、世界最大の船主団体「バルチック国際海運協議会」(BIMCO)の環境責任者、アロン・ソレンセン氏は、1隻あたりの清掃費用が数万ドル(数百万円規模)に達していると明らかにした。

2026年5月4日、船舶追跡サイトに表示されたホルムズ海峡の船舶動向。(AFP via Getty Images)

フジツボの除去に時間 船底清掃の実態

超大型タンカーの全長は1,000フィート(約300メートル)に達するものもあり、船底の表面積は約15万平方フィート(約1.4万平方メートル)に及ぶ。1隻の清掃には、5人から6人の潜水士が数時間にわたって作業する必要がある。

作業では、専用の噴射装置やスクレーパーを使って付着物を取り除く。フジツボのように硬く固着したものについては、電動グラインダーや油圧式の高圧洗浄装置が用いられる。

一方で、船体の塗装や防汚コーティングを損なわないよう配慮する必要がある。これらのコーティングは海洋生物の付着を抑える役割があり、損傷した場合には環境規制や保険条件に影響が及ぶ可能性がある。

では、なぜ付着物を除去しなければ航行できないのか。

船底に付着するバイオファウリング(Biofouling)は、船舶の流体性能を低下させる要因となる。これにより航行時の抵抗が増し、燃料消費が増加する。結果として、運航コストの上昇につながる。

特に長距離を航行する大型タンカーでは、燃費のわずかな悪化でもコストへの影響が大きくなるとされている。

曾子衡