ウクライナ軍 ロシア深部のガス工場攻撃 衛星施設も標的に

2026/06/25
更新: 2026/06/25

ウクライナ軍はロシア国内の天然ガス処理工場と衛星通信施設を夜間攻撃したと発表した。エネルギーと軍事インフラへの打撃で補給線を揺さぶり、戦局への影響が注目される。

6月24日、ウクライナ参謀本部は、ロシアに対する夜間攻撃で大規模な天然ガス処理工場と衛星通信施設2カ所を攻撃したと発表した。ウクライナ軍はこれまでにも、無人機を使い、モスクワの製油所を含むロシア国内の重要な精製施設を繰り返し攻撃している。  

参謀本部によると、今回の標的はオレンブルク天然ガス処理工場で、世界最大級の施設の一つとされる。この施設にはロシア唯一のヘリウム工場も含まれており、攻撃によって工場区域で大規模な火災が発生したとしている。  

この工場では、液体燃料ロケットエンジンや誘導システムに用いられるヘリウムや、固体ロケット燃料や火薬の主要成分となるエタンが生産されている。  

オレンブルクはウラル山脈南部に位置し、カザフスタンとの国境に近い。ウクライナ東部や南部の前線からは1200キロ以上離れている。  

また、攻撃はロシア軍が使用する衛星通信施設にも及んだとされる。このうち1カ所はモスクワ近郊のドゥブナ宇宙通信センターで、ロシア最大級の地上衛星通信施設とされる。もう1カ所はモスクワの東にあるウラジーミル州の施設である。  

これらの発表について、現時点で独立した確認は取れておらず、ロシア政府もコメントしていない。攻撃に無人機が使われたのか、ミサイルによるものかについても明らかになっていない。  

ウクライナ、補給線遮断で戦略的圧力  

高性能の無人機や長距離兵器の開発が進む中、ウクライナ軍はモスクワやサンクトペテルブルク、クリミアなどにあるエネルギー施設や軍需関連施設への攻撃を強めている。ロシア軍のエネルギー供給や経済基盤を断ち、プーチン大統領に停戦交渉を迫る狙いとみられる。  

クリミアは黒海沿岸の戦略的要衝で、2014年にロシアが併合した。ロシア海軍の基地があり、ウクライナ侵攻における重要な補給拠点となっている。このためウクライナ軍は、軍用飛行場やミサイルシステムなどへの攻撃を続けている。  

ゼレンスキー大統領は、ロシアが防空システムの一部を国内の他地域からモスクワやクリミア橋に移動させたと述べた。  

また、SNSのXで「戦争が長期化しているのはロシア指導部が外交を拒否しているためだと、より多くのロシア国民に理解させることが重要だ」と投稿した。ゼレンスキー大統領は、アメリカのトランプ大統領が求めた無条件停戦を受け入れたものの、ロシア側が拒否したとしている。  

さらに、6月18日の発言では、ロシア各地への大規模な無人機攻撃について、キーウの歴史的修道院への攻撃に対する報復だと説明した。あわせて、前線から離れたロシア国民にも戦争の影響を実感させる狙いがあるとした。  

ゼレンスキー大統領は「われわれはこの戦争を望んでいない。しかし、ウクライナが攻撃を受け続けるのであれば、ロシアも同様の状況に直面することになる」と述べ、戦争の終結を求めた。  

ベラルーシ参戦の懸念、北部で避難命令  

ウクライナ北部のチェルニヒウ州の当局は、7月1日からベラルーシとの国境地域の住民に対し、強制的な避難を命じたと発表した。  

ゼレンスキー大統領は5月、情報機関の分析として、ロシアがベラルーシを戦闘にさらに関与させる動きを強めていると明らかにしている。ベラルーシ領内から軍事行動が行われる可能性があるとも指摘した。  

また、軍と安全保障機関に対し準備を指示し、ベラルーシ国内の複数の標的を選定したとしている。ベラルーシが戦闘に関与した場合、これらが攻撃対象になる可能性があるという。  

これに対し、ロシアとベラルーシの双方は関与を否定している。一方で、ベラルーシ国内にはロシア軍を支援する軍事施設が残されており、無人機の誘導に使われる通信施設なども含まれているとみられる。  

吳瑞昌