中国共産党当局は5月、遼寧省大連市で日本人2人を拘束した。本件はレアアース関連物資の輸出規制に関係している疑いがある。インド太平洋戦略シンクタンク執行長、産経新聞元台北支局長の矢板明夫氏は、この出来事について、背後により深い政治的意図がある可能性を指摘したうえで、「典型的な人質外交の一形態である」との認識を示した。また、国際社会に対し、本件の政治的背景を見極め、日本と断固として連帯するよう求めた。
矢板氏は、フェイスブックへの投稿で、中国共産党当局が先日、大連市で日本人2人を拘束した事実を確認したと述べた。日本メディアの報道によれば、2人は日本の大手電機メーカーの社員であり、中国の輸出規制に関する規定に違反した疑いがある。事案は、レアアースを含む製品に関連している可能性が高いという。
矢板氏は、注目すべき点として、2人は一般企業の社員にすぎず、レアアースの取引業者でもなければ、当然ながらスパイでもないと指摘した。通常の国際貿易の枠組みでは、仮に輸出規制に関わる問題があった場合でも、貨物の没収や手続きの再申請、あるいは行政処分で対応されるケースが多く、直ちに刑事拘束に至ることはまれであるとした。
そのうえで同氏は、今回、中国共産党が最も厳しい措置を選択したと指摘した。表向きは「法に基づく処理」とされているが、近年の日中関係の推移を踏まえれば、より深い政治的意図をうかがわせるものだと述べた。
矢板氏はさらに、「ここ数年、中国共産党はレアアース、サプライチェーン、市場参入などを手段として、日本に対する圧力を強めてきた」と指摘した。特に高市早苗首相の就任以降、台湾海峡の平和の重要性を繰り返し強調し、日本は同地域の情勢と無関係ではいられないとの立場を明確にしている。この姿勢は北京の最も敏感な問題に触れ、中共当局の強い反発を招いている。
矢板明夫氏「人質外交」との見方
こうした状況を踏まえ、矢板氏は、今回の件で最も警戒すべきなのは、2人が具体的にどのような物品を持ち出し、輸出規制に違反したかという点ではないと指摘する。むしろ、中国共産党が日本社会に対し、一種の威嚇のシグナルを発している点にあるとした。すなわち、日本が中国共産党の意向に従わなければ、日本企業や日本国民が代償を払う可能性があるというメッセージである。
同氏は、これを「典型的な人質外交である」と強調する。拘束されているのは2人に過ぎないが、中国共産党の狙いは、日本の企業界に不安と動揺を生じさせることにあるという。経済団体を通じて政府に圧力をかけさせ、さらにメディアが高市政権の対中政策に疑問を呈するよう誘導する。そして最終的には、「政府の対中強硬姿勢が原因で日本人が拘束された」との認識を国民に広げることが目的であると分析した。
また、「これは中国共産党の常套手段である。司法、行政、あるいは市場の力を用いて他国に政治的圧力を加える」と指摘。「もし日本がこれによって後退すれば、中国共産党はさらに行動をエスカレートさせるだろう。国際社会が沈黙すれば、同様の事例は今後も繰り返される」と警鐘を鳴らした。
さらに同氏は、日本政府に対し、本件を適切に対処し、拘束された日本人の早期解放に全力を尽くすよう求めると同時に、日本としての原則と尊厳を守り、圧力や威嚇に屈することなく、台湾海峡の平和に関する立場を堅持すべきだと述べた。
また国際社会に対しても、本件の背後にある政治的意図を冷静に見極め、日本と連帯して対応する必要があると訴えた。法の名を借りた強圧的な外交手法に対して明確に反対の姿勢を示すべきであるとしたうえで、「本日圧力を受けているのは日本だが、次に同様の状況に置かれるのは他国である可能性もある」と指摘した。
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