G7 レアアース新戦略を発表 「中共は最大の脅迫カードを失う」=専門家

2026/06/19
更新: 2026/06/19

G7首脳は17日、各国が重要鉱物の輸出を一方的に制限したり、報復として規制を科したりしていることへの「強い懸念」を表明する声明を発表した。併せて、グローバルなパートナーシップを通じ、2030年までにパートナー国以外の単一供給者によるレアアースや永久磁石などの重要鉱物の供給比率を60%未満に引き下げ、最終的には50%まで低減させる目標を宣言した。専門家は、中共が世界を脅迫する最大の経済的カードを失うことになると指摘している。

中共のレアアース武器化 各国が脱依存を模索

台湾の国防安全研究院研究員の沈明室氏は、NTD(新唐人テレビ)の番組「ニュース大家談」で、G7声明における2つのキーワードは「2030年」と「60%」だと述べた。単一供給者とは当然、中国を指す。これまで多くの国がレアアース鉱床を国内に保有しながら、採掘・精製が環境に与える悪影響を懸念し、段階的に対応を見送ってきた結果、世界全体が中国のレアアース供給に依存する構造が生まれたと説明した。

レアアースは文字どおりの「土」ではなく、17種類の化学元素の総称であり、反応性の高い金属群である。現在世界で最も強力な永久磁石の製造に不可欠な素材であり、スマートフォン、コンピューターのハードディスク、電気自動車のモーター、風力発電機、音響機器などの各種ハイテク製品、さらには戦闘機、ミサイル誘導システム、レーダー、潜水艦のソナー、暗視装置といった精密軍事装備にも広く使用されている。現代の科学技術・軍事・産業において「代替不可能」な中核的地位を占め、「工業のうま味調味料」あるいは「新素材の母」とも称される。

レアアースの埋蔵地は主に中国、米国、インド、ロシアなどに分布している。現在、中国は最大のレアアース生産・輸出国であり、世界で最も完整な採掘・精製産業チェーンを有し、世界のレアアース加工・精製能力の約90%、総供給量の69%を握っている。

沈明室氏は、中国国内には世界のほぼすべてのレアアース生産産業が集中しているが、輸出の可否や数量を管理しているのは中国共産党(中共)政府だと指摘。またこの状況において、中共は他国との関係が変化するたびにレアアースを制裁の道具として用いており、これは今に始まった話でも、個別の事例でもないと述べている。

2010年以降、中共は日本に対してもレアアースを制裁手段として使ってきた。昨年11月に高市首相が台湾に関する国会答弁を行った後、それ以前は月200トン超を維持していた対日レアアース磁石の輸出量が、今年3月・4月には100トン台に再び落ち込んだ。

米国向けの輸出も同様だ。2025年にトランプ政権が対中関税引き上げを表明すると、中共はレアアース輸出制限で反撃した。その後、双方が猶予協定に合意した後も、対米ライセンスおよび輸出証明書の発給には制限が設けられている。中共は、レアアースが国防目的や軍事兵器の研究・開発・製造に使用される場合は対米輸出を停止すると要求した。

また中国は2025年からレアアースおよび永久磁石に対して厳格な輸出管制を実施している。中共によるレアアースの武器化は、米国・日本を含む西側諸国の自動車、防衛、ハイテク産業に深刻な打撃を与えた。

沈明室氏は、日本をはじめ西側諸国は数年前から中共のレアアース産業への依存脱却を模索してきたと指摘した。一部の国では実際にレアアース精製への投資も始まっており、マレーシアでもレアアース産業が立ち上がりつつある。しかし完全な産業チェーンを構築するには、早くても3〜5年はかかり、短期間で完了できるものではない。また環境への犠牲を伴い、将来のレアアース供給市場や中国との競争も考慮しなければならないと述べた。

さらに沈明室氏は、中国のレアアース生産企業が外貨獲得のために密輸などの形で売却する可能性も完全には排除できないと述べた。ただ基本的に中共は現在、完全な開放には踏み切らず、レアアースを西側諸国や米国の制裁への対抗手段として引き続き活用しているとの見方を示した。

今後の見通しについて沈明室氏は、中共がこの管制をどこまで厳格に維持し続けるか、そして西側諸国が代替手段や代替供給源を確保できるかどうかにかかっていると述べた。実現には時間がかかるかもしれないが、すでにG7の重要議題となっており、G7サミット開催前から日本と英国の間でもレアアース問題についての協議が行われていた。今や各国が連携してレアアース問題に対処する方向性が定まりつつある。

米国主導のG7連携 中共は脅迫カードを失う

G7サミット後に発表された目標は、2030年までに中共産のレアアースへの依存度を60%に引き下げ、その後さらに50%まで低減するというものだ。世界の中国産レアアースおよび磁石に対する需要は依然として非常に大きいが、評論家の呉嘉隆氏はこの目標が実現する可能性は十分にあると見ている。

2025年、中共がレアアース輸出管制を発動すると、トランプ大統領は直ちに100%の追加関税を課した。最終的に双方は関税と輸出管制をともに1年間猶予することで合意した。この過程で、スコット・ベッセント米国財務長官が2025年11月7日に公開した動画の中で、米国本土で生産されたばかりのレアアース磁石を手に持ち、サウスカロライナ州サムターの工場産だと説明した上で、米国がレアアース問題における中共の「締め付け」からの脱却を進めていると表明した。呉嘉隆氏によれば、当時の米国の自己評価では解決までさらに約1年が必要と見込まれていたため、昨年中共との1年間の猶予協定が成立した。もし1年の延長が実現すれば、つまり合計2年以内に米国はこの問題を解決できる見通しを持っているという。

また、オーストラリアのライナス・レアアース社は世界最高品位のレアアース鉱床を保有し、マレーシアに精製工場を持つ。同社の精製レアアース製品の世界市場シェアはすでに10%を超えており、米国と日本が中共産レアアースへの依存を脱却するための戦略的要として注目されている。さらにミャンマーにはイオン型重レアアースが豊富に埋蔵されており、パキスタンには推定10万〜50万トンのレアアース埋蔵量があるとされる。また日本は海底でもレアアースを発見している。

呉嘉隆氏はさらに、米国と台湾が締結した協力協定にレアアースのリサイクルに関する条項が含まれていることにも言及した。現在、スマートフォンやノートパソコンなど多くの製品にレアアース成分が含まれており、これを回収・再利用できる。台湾はレアアースのリサイクル技術と能力を有しており、別の解決策にもなり得る。このため台湾の半導体生産はレアアース管制の影響をほとんど受けていないと述べた。

呉嘉隆氏は、レアアースの供給源確保や加工など多くの面で米国はすでに着々と取り組みを進め、相当の成果を上げており、中国産レアアースへの依存低減に自信を持っていると見ている。だからこそG7サミットで各国が中共産レアアースへの依存低減策や重要鉱物サプライチェーンの安全確保問題を議論し、会合後に声明を発表するに至ったと述べた。

沈明室氏は、こうした状況が現実となれば中共は深刻な危機感を覚えるはずだと指摘した。各国が他の供給源や代替素材の確保に転じれば、中共のレアアース武器化を弱体化させるだけでなく、中国国内のレアアースおよび関連産業にも重大な打撃を与えることになると述べた。

王淨純