習近平が北朝鮮を訪問 その真意は

2026/06/05
更新: 2026/06/05

中国共産党(中共)党首習近平が来週、北朝鮮を訪問する。専門家は訪朝の意図を分析し、米朝間の有効な仲介は困難であり、むしろロシアと北朝鮮への影響力をめぐる争いが主眼だと指摘している。ただ中朝両国はもともと同床異夢の関係にある。

中共中央対外連絡部の報道官は6月5日、習近平が「招待に応じて」6月8日から9日にかけて北朝鮮を訪問すると発表した。

習近平が北朝鮮を訪問するのは2019年6月以来、実に6年ぶりとなる。金正恩との前回の対面は昨年9月で、金正恩が「九三閲兵式(建軍節記念軍事パレード)」に出席するため北京を訪れた際だった。

王毅外相は今年4月10日に平壌で金正恩と会談しており、当時から外交筋の間では、王毅訪朝が両国間のより高いレベルの相互往来に向けた地ならしとみられていた。

今回の訪朝は、習近平が昨年10月末に韓国でのAPEC首脳会議出席・訪韓を果たして以来、数か月ぶりとなる外国訪問でもある。

シドニー工科大学の馮崇義・副教授は大紀元の取材に対し、「世界では新冷戦が進行しており、米国主導の自由主義陣営と中露朝イランの『新・悪の枢軸』が対立する構図になっている。ロシア・ウクライナ戦争やイランとの戦争を見ても、この4か国が互いに支援し合っている。しかし中露間には競争関係があり、北朝鮮はかつて主に中共の支援に依存していたが、今はロシアとの関係が深まり、中共の北朝鮮に対する影響力は低下している。その観点から見ると、習近平の訪朝にはプーチンとの影響力争いという側面があり、北朝鮮が完全にロシアの懐に飛び込まないよう引き止めたい意図がある」と述べた。

台湾国防安全研究院の沈明室・上席研究員は大紀元の取材に対し「習近平の訪朝はロシアが北朝鮮に多くの軍事技術を提供していることと深く関わっている。中共政府は、北朝鮮が高度な兵器システムを保有するようになれば、いつかさらに言うことを聞かなくなると懸念しており、中国側がより先進的な軍事装備を北朝鮮に提供する可能性がある。また、朝露間の図們江大橋が依然として中国の大型船舶の図們江通行を妨げていることも、中朝間の重要な懸案事項だ」と分析した。

習近平は5月、1週間の間にトランプ大統領とプーチン大統領を相次いで会談している。公式発表によれば、今年9月には訪米も予定されている。

習近平とトランプは先月の首脳会談で、朝鮮半島の非核化が両国共通の目標であることを改めて確認した。韓国通信社・連合ニュースは以前、韓国外交筋の見方として、習近平の訪朝は「米朝間の仲介を意図している可能性が高い」と伝えていた。

しかし馮崇義氏は「習近平が米朝間で有効な仲介を行うことは不可能であり、米国も習近平にその能力があるとは見ていない」と否定的な見方を示した。

同氏は、「かつては米中露朝日韓による六者会合の枠組みがあり、中国は北朝鮮に影響力を行使できた。しかしその枠組みが崩壊して以降、習近平の金正恩に対する影響力が低下していることは米国も承知している。トランプ政権第一期に習近平を介さず金正恩と直接会談したこと自体、米国が習近平にその能力を認めておらず、依存もしていないことの証左だ」と説明した。

トランプは第一期政権中に金正恩と3度会談している。2018年6月のシンガポール会談、2019年2月のベトナム・ハノイ会談、そして同年6月30日に朝鮮半島の非武装地帯(DMZ)内の板門店での会談で、トランプはこの際に南北軍事境界線を越えて北朝鮮側に一時足を踏み入れ撮影に応じた。

沈明室氏も「習近平が北朝鮮と核兵器の処理問題を話し合ったとしても、大きな成果は期待しにくい。核兵器の問題で金正恩が譲歩することはない。習近平が出向いて話し合うのは、あくまで形式的なポーズに過ぎない」と述べた。

中朝間では近年、関係「再起動」を示す動きが相次いでいる。今年3月には、北京・丹東から北朝鮮・平壌を結ぶ双方向の国際旅客列車が運行を再開し、丹東―平壌間では毎日の相互運行まで実現している。

沈明室氏は「習近平と金正恩の関係はもともと良好ではない。金正恩は中共の子分に甘んじることを好まず、米国と単独で対話・対抗できると考えている。ただ中朝両国は戦略的利益の必要性から、引き続き関係強化を図っていくだろう」と述べた。

馮崇義氏は「北朝鮮の金一族は代々、両者から利益を得る均衡外交を巧みに続けてきた。北朝鮮は中共の支援に依存しつつも、その統制には不満を抱く。中共は兵器・技術・食糧の面で支援しながら、特に最先端の軍事技術については全面開放したくない。互いに同床異夢の関係だ」と語った。

唐兵
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。