中国本土の動画プラットフォーム「douyin」は近日、今年に入ってから中共の関係部門に協力し、ネット上の違法行為や不正ビジネスに関わった容疑者162人を摘発したと明らかにした。さらに、海外と関わる活動やVPNを使ったネット検閲の回避について、「証拠を保存し、報告する」としている。評論家は、中共がSNSを「武器化」していると指摘する。
6月2日、「douyin黒板報」の公式アカウントによると、douyinは今年に入ってから、関係部門に協力し、ネット上の違法・不正行為に関わった容疑者162人を摘発した。
公告では、一部の組織について、海外をまたいだ活動、組織的な運営、複数のプラットフォームを使った誘導、VPNの使用、隠語の使用などが確認されたと説明した。douyin側は、関連する投稿や記録を証拠として保存し、所管当局に報告するとしている。
シドニー工科大学の馮崇義副教授は、次のように述べた。
「これは全面的な体制である。人員を浸透させ、douyin、WeChat、テンセントなど大手SNSやIT企業の重要部門に配置している。彼らはみな、内部に人員を置いている。中共が新たな『反スパイ法』を通過させたことを覚えているだろうか。そこには明確に書かれている。メディアだけでなく、すべての企業に、国家安全部門の反スパイ活動に協力する義務がある」
広告が挙げた事例には、ライブ配信中にQRコードを表示して外部へ誘導する行為、外部のグループを通じたアカウント売買、アカウント停止の解除代行、偽のアクセス数の作成、海外SNSへの誘導などが含まれる。
ジャーナリストの唐浩氏は、「douyinは微信や小紅書などのアプリと同じように、すでに中共によって『武器化』されている。庶民に対する厳しい社会統制と言論弾圧に使われており、民間サービスを治安維持の道具に変えた全国規模の監視・統制システムだと言える。いまdouyinが自ら公安の摘発に協力していることは、第一にその実態があらわになったということであり、第二に、中共が政権の安全にますます不安を抱いていることを示している」
douyinによると、あるユーザーがネット検閲を回避するためのソフトを購入し、海外SNS上に当局が「不健全」とみなす内容を投稿したとして、3人が刑事拘留されたという。
唐氏は次のように述べた。
「いわゆる『偽物対策、詐欺対策、わいせつ・賭博・薬物の取り締まり』は、実際には副次的な目的にすぎない。中共が本当に厳しく取り締まり、封じ込めようとしている主な対象は、VPNとネット検閲回避ソフトである。現在、中共の政権危機への警戒感はかつてないほど強い。庶民が規制を回避して海外の真実の情報に触れ、政治的に目覚めることを非常に恐れている。さらに、中国人がいわゆる『海外勢力』と連携し、共産党を倒すことを恐れている」
公告ではまた、ある地域のネット企業が第三者プラットフォームやウェブサイトを開発・運営し、douyinに関する「違反通報代行」や「凍結アカウントの解除代行」などのサービスを販売していたとした。
douyinは、これらの関連サービスについて現地の裁判所に訴訟を起こしたと説明した。今後も関連する手がかりを所管当局に移送するとしている。
馮氏は、次のように述べた。
「彼らはすべてのビッグデータを掌握する。そのビッグデータは、基本的に中国の情報機関に完全に提供されている。いまは新たなアルゴリズムと先進的なツールが加わっただけであり、より正確に対象を選別し、すべての人を監視できるようになった。現在拘束されている異議人士を見れば分かる。彼らの一挙手一投足は、すべて当局の掌握下にある」
中共は近年、ネット規制を絶えず強化している。ネット上の言論統制も、いわゆる「治安維持」体制に組み込まれてきた。
唐氏は、「中国で開発されたSNSアプリをスマートフォンに入れれば、それだけで公安につながる盗聴器や追跡装置を手に持っているのと同じだ。中共は一人ひとりの位置情報を追跡できるだけでなく、通話を盗聴し、携帯電話のショートメッセージを監視できる。さらに、各人の生活習慣や生活リズムを記録し、不審な集団行動があるかどうかまで分析できる」と指摘した。
これまでに、事情を知る関係者は、地方の宣伝部門、ネット管理部門、公安システムが、ネット上のコミュニティーやライブ配信の内容を厳しく監視するよう求められていると明かしていた。また、投稿頻度の高いアカウントについては、分類して記録するよう指示されているという。
馮氏は、「中共はほかの情報を封鎖している。なぜなら、規制を回避すれば、新たな情報源に触れることになるからだ。そうなれば、中共が築いてきた虚偽の情報体系は崩れ落ちる」と語った。
唐氏は、「中共が近年、AIの開発に全力を挙げている主な目的の一つは、治安維持の手法を『事後の弾圧』から『事前の封じ込め』へと引き上げることにある。そのため、douyin、微信、デジタル人民元などを通じて、人々のスマートフォンを監視網に組み込み、徹底した全面監視を行おうとしている。さらにAIによるビッグデータ分析を使い、政権に不利なさまざまなリスクを事前に予測し、早期に封じ込めようとしている」と述べた。
douyinとその親会社であるバイトダンスをめぐっては、海外でも長年にわたり懸念が示されている。バイトダンスと中共との関係や、中共が企業にデータ提供や検閲への協力を求める問題について、外部からは疑問や懸念の声が上がっている。
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