太陽光パネル大量導入に懸念 リサイクル負担の明確化求める=キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

2026/05/27
更新: 2026/05/27

参議院環境委員会において、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏は、太陽光パネルの再資源化をめぐる制度設計や、太陽光発電の大量導入政策について意見を述べた。

杉山氏は、太陽光パネルのリサイクル法案における最大の課題として、費用負担の主体が明確でない点を挙げた。国や自治体による費用負担は最終的に国民の追加負担につながると指摘し、これまでも大量導入のために再エネ賦課金などで国民に莫大な負担をかけてきたことを挙げ、太陽光発電に関わる事業者が、事業の後始末にあたるリサイクル費用を負担すべきであるとの認識を示した。

また事業者の倒産やパネルの放置、所有者不明といった事態に備える積立金や、リサイクル工場など共通インフラにかかる費用についても、関係事業者が担うべきであるとした。

また、太陽光発電の大量導入政策そのものについても見直しを求めた。リサイクルの基本は廃棄物を出さない「リデュース」にあるとし、大量廃棄問題の根本原因はこれまでの大量導入政策にあると指摘した。そのうえで、太陽光発電の大量導入はメリットよりデメリットの方が大きく、正当化されないとして、できるだけ早期に停止すべきであると述べた。

コスト面については、太陽光発電は天候に左右されるため、既存の火力発電所を代替できず、本質的に二重投資になると説明した。さらに、大量導入に伴い出力制限や蓄電池の整備、送電網の増強が必要となり、電力系統統合コストが増大すると指摘した。政府資料に基づく試算として、太陽光・風力を大量導入した場合、既存の原子力や火力を活用する場合と比べて発電コストが約30円高くなり、日本全体で30兆円、一般家庭では年間14万円の電気代上昇につながるとの見方を示した。

人権や環境への影響にも言及した。杉山氏は、世界の太陽光パネル生産の9割以上が中国であり、その半分が新疆ウイグル自治区で生産されているとし、石炭火力発電による製造や、強制労働を含む人権侵害の疑いが指摘されていると述べた。

こうした人権侵害に対しては、米国は2022年6月、「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」を施行し、新疆ウイグル自治区に関与する製品の輸入を原則禁止した。EUも2024年3月、強制労働が疑われる製品のEU市場からの回収・廃棄を命じることができる規則案で政治合意に達した。

一方、日本政府はこの問題で明確な姿勢を打ち出すには至っておらず、法的規制を設けないまま今日に至る。

杉山氏は「米国では関連するパネルの輸入が事実上禁止されている一方、日本では対策が講じられていない」と警鐘を鳴らしている。

また国内ではFIT制(固定価格買取制度)により再エネ賦課金として電気代に上乗せされた国民負担が事業者収入を支え、その調達費用は最終的に電気利用者全員が賦課金として負担している構図であり、日本国民が高額な電気料金を支払って中国企業の利益を支えている側面がある。

さらに杉山氏は、メガソーラーについて、100万kWの原子力発電所と同等な発電量を得るために山手線内側の約2倍の土地が必要になるとし、森林や湿地を覆うことは生態系保全の観点から問題があると指摘した。建設に伴う森林伐採により蓄積されていた二酸化炭素が放出されることから、太陽光パネルによるCO2削減効果を相殺するだけでも10年を要すると試算した。

気候変動対策としての効果についても疑問を呈した。日本全体のCO2排出をゼロにしても、地球全体の気温低下効果は0.006度にとどまり、太陽光パネルの大量導入による効果はそれをさらに下回るとの認識を示した。また、現在の国際社会では、米国、中国、インド、ロシアなど主要国がエネルギー安全保障や経済性を優先し、安価で安定した電力供給の確保を重視していると分析した。

杉山氏は、日本も脱炭素政策一辺倒ではなく、安価で安定した電力供給を優先したエネルギー政策へ転換すべきであると主張した。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます