5月14日午前、世界が注目するトランプ・習会談の幕が開いた。会談の結果もさることながら、その過程で起きた小さなエピソードや細部の数々が実に興味深い。
トランプ大統領が車を降りた瞬間、一羽のカササギが飛んできた。
中国新聞網の公衆号(WeChat公式アカウント)の報道によると、当日、中国共産党(中共)党首の習近平が人民大会堂東門外の広場で歓迎式典を挙行した。トランプ大統領が車を降りた瞬間、一羽のカササギが飛んできて、その上方の欄干に止まった。
中国の民間文化においてカササギは「吉報をもたらす鳥」とされ、幸運・吉祥・福・慶事の象徴である。ネット上では「北京の天の兆しまでが立場を取り始めたのか」「カササギさえ誰が来たか知っている」「民衆は変化を待ちに待ちすぎた」などの声が相次いだ。このカササギ歓迎という小挿話は何を予兆するのか。もしトランプの強圧が中共という赤い船の沈没を加速させるものであれば、無数の中国人が心底から喜ぶことだろう。
シークレットシューズを履いた習近平
公開情報によれば習近平の身長は178センチ、トランプ大統領は190センチとされる。ところが歓迎式典での並び立つ映像を見ると、両者の身長差はさほど大きく見えない。唯一の説明はシークレットシューズを着用していた可能性がある。習近平と中共は身長においてさえトランプに引けを取るまいとし、対等でありたがっている。この背後にある自信のなさは何を意味するのか。
2017年の米中対談と比較して覇気が無い習近平
映像を見ると、トランプは習近平への挨拶でも中国側官員との握手でも、2017年の訪中時と同様、自信に満ち積極的で熱意あふれる様子だった。対する習近平は明らかに異なり、トランプとのやり取りでも米国側官員との交流でも、かつての自信や熱意が影を潜め、覇気が著しく薄れていた。これはトランプの圧力を受け続けたことによる隠しきれない反応なのか、それとも体力の衰えを示すものか、あるいはその両方か。
歓迎式典に出席した中共高官の数が減少
表面上は中共が最高の国賓礼遇でトランプを迎えたかのように見えるが、実際には格を落としていた。映像によれば、今回の歓迎式典に出席した中共高官は常務委員1人と政治局委員2人、すなわち政治局常務委員の蔡奇、政治局委員兼外相の王毅、政治局委員兼副首相の何立峰にとどまった。何立峰の直後に並んだ国防相の董軍は軍事委員会委員でも政治局委員でもないため、中国中央テレビには言及されなかった。2017年11月のトランプ初訪中と比較すると、出席した高官の数は明らかに少ない。
2017年の歓迎出席者には政治局常務委員・国務院副首相の汪洋のほか、丁薛祥中弁主任、王晨全人代常委副委員長、劉鶴中央財経領導小組弁公室主任、楊潔篪国務委員、郭声琨国務委員の計5政治局委員、さらに劉延東副首相、董建華全国政協副主席、万鋼全国政協副主席らも名を連ねていた。
中共が出席規模の格を意図的に下げたことは、トランプ訪中への期待値の低下を示している。2017年当時はまだ、盛大な歓迎や手厚い接遇という「見せかけの演出」でトランプを動かせると期待していた。だが二期にわたるトランプ政権の全方位的な対中圧力を経て、従来の手法はトランプには通用しないと中共は悟った。内心ではトランプを嫌いながらも手が出せず、こうした形式に精力を費やすことを諦めたのだろう。
米国側随行者は和やか 中共側随行者は沈んでいた。
映像で確認できるように、歓迎式典での米国側随行者は全体として雰囲気が和やかで、互いに雑談する者もあり、世界一の富豪イーロン・マスク氏は歩きながらスマートフォンをいじり、現場をさかんに写真に収めていた。米国国歌が流れると、米国側随行者全員が右手を胸に当て、国家への敬意と忠誠心を示した。
これに対し中共の官員たちは表情が硬く、笑顔もなかった。今日の主役は自分たちではなく、主客を取り違えてはならないと各自が理解しているからだろう。
米中双方の官員の振る舞いの違いは、それぞれ異なる体制のもとで育まれた人間と官員のあり方を映し出している。前者は責任感と担当意識を持ち、真に民に奉仕する心があり、後者は権貴に仕え、権力の前にひれ伏すことが多い。
軍楽団の演奏曲目に深い意味
トランプと習が中共三軍儀仗隊を閲兵した後、中共軍楽団が演奏を行い、その曲目の一つが『歌唱祖国』(祖国を歌う)だった。2017年のトランプ初訪中でも同曲が演奏されている。
この曲は1950年の作で、歌詞の中に「我らを侵す者は死(滅亡)あるのみ」という一節がある。米中対立が激化する現在、米国大統領の歓迎の場でこのような曲を演奏することは適切と言えるのか。
習近平がメモ帳に目を落とす頻度が依然として高い
外国メディアの報道映像を見ると、会談の冒頭発言の場面で習近平が折々うつむいて手元の小さなメモ帳を確認する様子が確認でき、一文を話す間に一、二度も目を落とすことがあった。これは脳卒中の後遺症の表れだろうか。もっとも中国中央テレビの映像を見る限り、外部からこうした習近平の姿はほとんど見えない。
対するトランプは立て板に水の弁舌で、冒頭発言では習近平に十分な面目を立て、「偉大な指導者」という大仰な称号を贈った。トランプは習近平と中共が体面を死守しようとすることをよく知っているようだ。密室での会談でいくつかの重要問題をめぐって双方がいかなる舌戦を繰り広げたかは、トランプ一行が中国を離れてからでなければ明らかにならない。ただし中国中央テレビが「双方が意見を交換した」と伝えた表現からすると、互いが自説を展開するにとどまり、合意には至らなかったことが多かったと見られる。
共同記者会見も米中企業家対話会も開催されなかった。
2017年にはトランプ・習会談後に共同記者会見が開かれ、当時の習は非常に自信あふれる様子だった。今回はいずれも設けられなかった。これは双方がいくつかの問題で深刻な意見の相違を抱えていることを示すものではないか。
また、今回は米中企業家対話会も開催されなかった。2017年には対話会の閉幕式にトランプと習近平が揃って出席していた。トランプに同行した企業家たちは習近平から正式に接見されることなく、トランプ・習会談の席上でトランプが習近平に紹介する形をとった。午後には李強首相が彼らと面会した。
習近平の言葉を借りれば「中国の扉はますます広く開かれる」とのことであり、こうした重量級の米国企業家たちは中共として大いに歓迎すべき存在のはずだ。それでも習近平が接見せず李強に委ねたのは、体調上の理由なのか、それとも他に理由があるのか。
習近平がトランプを案内した天壇観光は、祈年殿のみにとどまった
5月14日の北京は非常に暑く、最高気温は31度に達した。午後、習近平はトランプを案内して祈年殿を参観したが、天壇のもう一つの重要な見どころである圜丘壇には足を運ばず、天心石の上でトランプに音響の反響を体験させることもなかった。2017年に習近平がトランプ夫妻を故宮の中軸線に沿って案内した際の様子とは明らかに異なる。31度という猛暑の中、祈年殿から圜丘壇まで歩くのは容易ではなく、習近平の体調上の理由があったのではないか。
中国中央テレビのニュース放映時間が短縮された
今回の中国中央テレビによるトランプ・習会談関連の報道は、歓迎式典・会談・天壇観光・歓迎宴会の4本で合計17分に満たなかった。2017年はより多くの行事が取り上げられ、合計放映時間は27分近くに達していた。
官製メディアの放映時間の短縮は、双方の意見の相違の深刻さを裏付けるものではないか。習近平と中共が期待した「尊重」への応答を米国側から得られなかったことを示しているのではないか。
以上、会場の内外で起きた細部をじっくりと味わうことで、今回のトランプ・習会談をより的確に評価する一助となるかもしれない。
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