【分析】中共はなぜホルムズ海峡の封鎖解除を強く求めるのか

2026/04/22
更新: 2026/04/22

国際機関やアナリストの間では、ホルムズ海峡の封鎖によるエネルギー危機に加え、内需の低迷が重なり、中国経済の危機が一段と深刻化しているとの見方が広がっている。こうした中、中国共産党の習近平は今月20日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子と電話会談を行い、海峡の通航維持を呼びかけた。サウジアラビアは、中東における米国の重要な戦略的同盟国の一つでもある。

中共外交部の発表によると、習近平は同日の会談で中東・湾岸情勢に言及し、「ホルムズ海峡は正常な通航が維持されるべきだ」と強調した。中共当局はこれまでも同海峡の通航正常化への期待を繰り返し表明している。

一方、イランは今月17日にホルムズ海峡の開放を発表したものの、翌18日には決定を撤回した。米国とイランの暫定停戦協定が22日に期限を迎えるのを前に、トランプ米大統領は21日、停戦期間の延長を発表した。ただし、米軍は引き続きイランに対する封鎖を維持し、戦闘態勢を継続する方針だ。

米中央軍(CENTCOM)は現在、イランに対する海上封鎖を全面的に実施しており、その対象を国際水域におけるイラン関連船舶にも拡大している。21日の発表によると、米軍はすでに28隻の船舶に対し、進路変更または帰港を指示した。

海運・海事データによれば、中共当局はイラン産原油の80〜90%を購入している。米国が先週、イラン港湾に対する封鎖措置を開始するまでは、イラン産原油は様々な手段で中国へ輸送されていた。

時事評論家の沈舟氏は、米軍によるオマーン湾での海上封鎖は、中共当局がイランから原油を輸入する経路を事実上断つものであり、中共側が強い焦りを見せていると指摘する。

また、ブルームバーグのエネルギーコラムニスト、ハビエル・ブラス氏はX(旧ツイッター)への投稿で、「北京はより深刻な石油不足に直面する可能性がある」と分析し、対応策として戦略石油備蓄の取り崩し以外に選択肢は乏しいとした。

英紙ガーディアンによると、復旦大学国際問題研究院の沈丁立副院長は、イラン戦争が「中国におけるエネルギー安全保障を深刻に損なっている」と指摘。中共政権が将来的な台湾侵攻の可能性を検討する際にも、エネルギー供給の途絶がもたらす影響を考慮せざるを得ないとの見方を示した。

一方、中国経済は輸出依存度が高く、輸出は国内総生産(GDP)の約5分の1を占める。英エクセター大学のアンドレア・ギセリ講師は、「戦争初期には中共は一定の利益を得ていたが、現在は事態の早期終結を強く望んでいる」と指摘した。

格付け会社フィッチ・レーティングスは、イラン戦争によるホルムズ海峡封鎖が貿易を混乱させ、世界需要を押し下げることで、中共政権に追加的な外部圧力を与えていると分析。特に化学産業について、原油やナフサ、液化石油ガス(LPG)市場のひっ迫が原材料コストを押し上げ、生産能力の稼働率を低下させる可能性が高いと指摘した。

同社の報告書は、ホルムズ海峡の封鎖が第2四半期まで続くとの前提に立つ場合、中国の経済成長率は3.8%まで低下する可能性があると予測。世界需要の減退、原材料コストの上昇、輸出の下支え効果の低下が、すでに低迷している消費や不動産市場をさらに圧迫する恐れがあるとしている。

さらに、時事アナリストの夏言氏は、中共の国家統計局が公表した第1四半期の経済データをもとに、政府主導の投資が経済を下支えする一方、民間投資は前年同期比で2.2%減、不動産投資は同11%減と低迷が続いていると指摘。社会消費品小売総額は旧正月の影響で前年同期比2.4%増にとどまり、GDP成長率の半分にも満たなかった。

対外貿易では第1四半期の輸出が予想を上回ったものの、3月単月では人民元建て・ドル建てともに純輸出額が前年同期比で下回った。3月の輸出は前年同月比2.5%増と6か月ぶりの低水準にとどまった。さらに、3月の全国都市部調査失業率は5.4%と、2月から0.1%、前年同月比で0.2%上昇し、昨年3月以来の高水準となった。

任義