トランプ氏 幻覚剤研究の規制緩和へ大統領令 退役軍人の治療促進狙い

2026/04/20
更新: 2026/04/20

トランプ大統領は4月18日、精神疾患を抱える人がイボガイン化合物を含むサイケデリック薬物(幻覚剤)を入手できるように整備する大統領令に署名した。

この大統領令は、命を救い、アメリカ社会に広がる精神疾患の問題を改善するサイケデリック薬物について、研究および承認プロセスを加速することを目的としている。

署名に先立ち、トランプ氏は「多くの人々のためのものだが、とりわけ軍関係者のためのものだ」と述べ、「退役軍人の自殺の蔓延は国家的悲劇だ。9.11以降、戦場で命を落とした退役軍人の21倍以上が自殺によって命を失っている」と指摘した。

大統領令では、精神疾患、うつ病、薬物依存障害などに苦しみ、標準的な医療・精神医療を受けても再発したり十分な効果が得られない患者に対し、長期的な解決策を見いだすためには革新的手法を要するとしている。

その上で、「イボガイン化合物を含むサイケデリック薬物は、臨床研究において、標準治療後も症状が持続する患者の深刻な精神疾患に対処する可能性を示している」と記している。

イボガインは植物由来の精神活性化合物であり、2024年にスタンフォード大学医学部の研究者らが行った小規模な予備的研究では、外傷性脳損傷を抱える退役軍人において、うつ症状や不安、日常機能の改善が観察できたと報告している。

ただし、この研究は対照群を設けない観察研究であり、効果の因果関係については今後の検証が必要としている。

ホワイトハウスでは、ケネディ・ジュニア厚生長官が「何千人もの退役軍人が、有望ではあるが知見が不十分な治療法を求めてメキシコや他国へ渡っている」と述べ、そのうえで「今回の大統領令は、これらの薬剤を適切に研究することを妨げてきた法的障壁を取り除くものだ」と説明した。

アメリカ国立医学図書館に掲載された研究によれば、2012~15年にかけてメキシコでイボガイン治療を受けた患者の80%がオピオイド離脱症状が消失、または大幅に軽減したと報告している。

一方で、同研究は「慢性オピオイド使用に対するイボガインの有効性について報告した研究は非常に少ない」とも指摘している。

アメリカ保健福祉省は、既存予算から少なくとも5千万ドルを拠出し、サイケデリック薬物を用いた重度精神疾患治療のためのプログラムを開発または進める州と連携する方針である。

退役軍人支援に取り組む非営利団体の設立者であり、元空軍戦闘管制官のエリック・ライオンハート氏は、この大統領令について「従来の枠組みを超えたものだ」と評価した。

同氏は「大統領が軍への支援を口にするなら、それを信じる。この行動は、多くの退役軍人を救えなかったシステムに挑戦する意思を示している」と述べた。ライオンハート氏は、自身の友人である退役軍人の自殺をきっかけに、支援団体「First There Foundation」を設立したという。

米国ナッシュビル在住のエミー賞受賞ジャーナリスト。以前はニューヨーク・ポストやフォックス・ニュース・チャンネルで働き、ニューヨーク市ではオフ・ブロードウェイ・ミュージカルのシリーズも執筆した。