アメリカ情報機関の開示によると、中国共産党(中共)政権と関係のあるAI企業「覓熵科技」が、高精度の衛星画像とAIによる識別技術を用い、イラン革命防衛隊に対して、中東に展開するアメリカ軍基地の防空システムや戦闘機の正確な位置情報を提供していた疑いが浮上した。複数の致命的な攻撃では、こうした情報が使われた可能性が高いとみられる。専門家は、中共によるアメリカへの脅威は、もはや机上のものではないと指摘している。
「覓熵科技(MizarVision)」は、中国に本社を置く、衛星画像などの地理空間情報を分析するAI企業だ。アメリカ防情報局によると、同社はAI解析を加えた高精度の衛星画像をイラン側に提供し、イラン革命防衛隊によるアメリカ軍の攻撃目標の特定を大きく後押しした。情報機関によれば、これらの画像データは、レーダーの配置や航空機の機種まで識別できる精度を持ち、アメリカ軍兵士や同盟国の安全を直接脅かしているという。
調査によると、イラン戦争の勃発の1週間前、同社のウェイボー(中国版Twitter)アカウントは、サウジアラビアのスルタン王子空軍基地の詳細な衛星画像を6件続けて投稿し、「パトリオット」防空システムや数十機のアメリカ軍機の位置を正確に示していた。
さらに衝撃的なのは、最後の投稿から48時間以内に、この基地がイランによる報復攻撃を受け、米兵1人が重傷を負い、その後死亡したことだ。
アメリカの安全保障専門家は、かつては国家レベルの情報機関でなければ困難だった大規模な軍事目標の特定作業が、いまや中共と関係のある民間企業によって、「オープンソース情報の民主化」の名のもとに無償で提供していると指摘する。そのうえで、その狙いには強い疑念があるとしている。
資料によると、MizarVisionは2021年に設立し、中共当局が約5.5%を出資している。一見すると高い比率には見えないが、専門家は、中共が過去15年にわたり、国有企業と民間企業の境界をあいまいにし、複雑な投資手法を通じて政府資金をハイテク企業に流し込んできたと警告している。
これを受け、アメリカ議会の「中国共産党に関する特別委員会」は声明を発表し、中共とつながる企業がAIアルゴリズムを戦場監視に転用しており、こうした技術基盤がもたらす脅威はすでに現実のものになっていると強調した。
これに対し、中共外務省は「通常の行為だ」と弁明している。しかし、中国で極めて厳しいインターネット検閲が行われている中、MizarVisionが数か月にわたり、敏感な軍事画像を公然と発信し続けながら、何の制止も受けなかったこと自体、当局の黙認、あるいは支援をうかがわせる。
商用衛星技術の利用が広がるにつれ、軍事的に敏感な画像の拡散は、アメリカ軍にとって深刻な課題となっている。現在、アメリカ側は関連する衛星画像プロバイダーに対し、紛争地域の画像提供を無期限で停止するよう求めており、データがさらに敵対勢力に利用されるのを防ごうとしている。
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