中国のSNSで近年、「走線(そうせん)」という言葉が広がっている。第三国を経由して海外を目指す移動を指す表現で、日本語の「密入国」に近いケースも含まれるが、ネット上ではこうした移動全体を指す言葉として使われている。
この「走線」でドイツを目指す中国人が増えている。
多くはまず、ビザなしで入れるセルビアに渡り、ボスニア・ヘルツェゴビナへ移動する。その後、国境近くの町ビハチから山や森を歩いて越え、クロアチアに入る。その後はスロベニアやイタリアを経て、ドイツへ向かうケースが多い。
SNSには、その過酷な様子が投稿されている。荷物を背負って雪山を登り、雪の上で火をたき、暗いトンネルを歩いて進む姿も確認されている。
なぜここまでして向かうのか。
理由の一つとして、ドイツで難民申請が認められた場合、住居や生活費の支援を受けられる可能性があることが挙げられる。この情報がSNSで広まり、移動を後押ししている。
一方で、中国の先行きへの不安や、より自由な環境を求める気持ちも背景にある。
ただ、「走線」という言葉が軽く使われる一方で、その実態は非常に厳しい。雪山や国境地帯を越える移動は、大きな危険を伴う。
そうした現実を知りながらも、それでも外へ向かおうとする人が増えていること自体が、今の中国社会の閉塞感の強さを物語っている。
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