米国は深刻なフェンタニル危機に直面し、死亡者数は増加し続けている。中国のSNS「ウィーチャット」が、麻薬密輸やマネーロンダリングを助長しているとの指摘が出ている。3月下旬、米6州の超党派の州司法長官が連名でトランプ米大統領に書簡を送り、中国のSNSの悪用問題への対応を連邦政府に求めた。
米国のノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ニュージャージー州、コロラド州、ケンタッキー州、ニューハンプシャー州の司法長官は、トランプ米大統領宛ての書簡の中で、世界で10億人のユーザーを擁するウィーチャットが「麻薬密売組織およびその資金支援者」によって、フェンタニルなど各種違法活動の「中核的な金脈」として利用されている強い証拠があると指摘した。
これに先立ち、これらの州の司法長官は昨年、ウィーチャットと親会社テンセントと接触し、監督強化と捜査協力を求めていた。当時、シンガポールに本部を置くウィーチャットは、米国のユーザーに関係する犯罪について、法執行機関との協力を強化すると約束していた。
しかし、最新の進展では、これらの措置は効果を上げていないことが示されている。
6人の司法長官は書簡の中で、「両社はいずれも、中国のユーザーに関する重要データを米国の法執行機関と共有することを断固として拒否している」と明記した。ウィーチャットは、同アプリが中国に本部を置き、中国のデータプライバシー法に従う必要があるため、米国当局の要求には応じられないと主張している。
しかし、この説明には強い疑問が呈されている。
独立系研究者・頼建平氏:「共産党にとっては、国内のいかなる個人や機関にも秘密は存在せず、すべての情報を容易に取得できる。しかし、外国人や外国政府がその情報を必要とする場合には、企業に提供を許可せず、国内の法規を理由に拒否する。これは一種のダブルスタンダードだ」
海外人権弁護士連盟の代表である呉紹平氏は、ウィーチャットが中共体制の下ですでに高強度の監視ツールとなっており、言論の検閲から行動の追跡に至るまで高度な精度で行われていると指摘した。このような状況の下では、越境犯罪への統制不全はむしろ選択的な法執行に近いものだとした。
海外人権弁護士連盟の代表 呉紹平氏:「ウィーチャットによる中国人への監視はほぼ間断なく行われている。もし特定の犯罪行為を本気で抑止しようとするのであれば、完全に実現可能だ。同アプリの音声認識、文字認識、画像認識の機能は、長年にわたり世界の先端水準にある。これは中共の国家体制がウィーチャットを通じて実現できるだけでなく、運営主体であるテンセント社自身にも可能なことだ。これはできない問題ではなく、意図的に行っていない問題である」
一方、頼氏は、ウィーチャットペイが越境的な流通および決済機能を備えており、一部のグレーな取引の場面で、マネーロンダリングや違法資金の移動手段として実際に利用されていると指摘した。
頼建平氏:「米国は長年この問題を批判し、さらには貿易戦争の材料にもしてきたが、中国側は意に介さない。表向きには取り締まりを約束するものの、実際には裏で支援・助長している」
評論では、中国当局が関連犯罪の取り締まりにおいて選択的な法執行を行っており、その背景には政治的利益があるとの見方が示されている。
呉紹平氏:「米国は麻薬犯罪の被害国であり、フェンタニルによって日々多くの人々が死亡している。このような状況は明らかに米国に損害を与えるものであり、ウィーチャットのこうした対応には政治性がある。もしそうでないなら、この種の犯罪は中国の現行法だけでなく、世界のいかなる国の法律でも許されないものである。企業としても、自社のプラットフォームを通じて違法行為が行われていることを認識している以上、法的義務と道義的責任の双方から、それを阻止すべきだ」
呉氏はまた、ウィーチャットの問題について、「ティックトックと同様に、立法および制度的手段によって対応することでのみ、真に問題を解決できる」と提言した。
6州の司法長官はトランプ氏に対し、この問題を国家安全保障上の優先課題に格上げし、中国当局との協議にも直接組み込むよう求めた。あわせて、フェンタニルの流通を遮断するとともに、中共政権が中国企業に対して米国の有効な法的手続きを遵守させることを拒否している現状に対し、断固とした対応を取るよう強く要請した。
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