中国の官僚社会で、いま静かに広がっているのが「何もしない」という選択だ。
共産党の理論誌『求是』は3月1日、事実上「責任を恐れず動け」と呼びかける論考を掲載した。記事は「権限だけ欲しがり、責任を負わない風潮がある」と官僚を批判し、「本当に責任を取れるかどうか」を昇進の基準にすべきだと強調している。
いわば、動かない官僚への公開の叱責である。しかし現実の空気は正反対だ。
先週、中国の国会にあたる全国人民代表大会で、19人の代表が一斉に解任された。そのうち9人は軍の将軍クラスで、5人は軍の最高位クラス。軍の中枢に近い人物が大量に姿を消した形だ。
さらに軍の幹部も相次いで失脚し、指導部の人数は大きく減少。軍の指揮体制そのものが揺らいでいるとの見方も出ている。
こうした粛清の連続が、官僚たちの心理を変えた。
元地方幹部は海外メディアに対し、「降格で済むならまだ軽い。立場を間違えれば、すべてを失う」と語った。評価を下げられることよりも、政治的に排除されることの方がはるかに怖いという。
そこに経済の失速も重なる。地方財政は厳しく、公務員の待遇も縮小傾向だ。かつての安定や高待遇という魅力は薄れ、積極的に動く動機も弱まっている。
トップは「責任を恐れず動け」と叫ぶ。
現場は「動けば危ない」と身を縮める。
このねじれが続く限り、中国官僚の「集団静止」は簡単には止まりそうにない。
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